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極少数精子凍結保存用デバイス “MAYU”を用いた精子保存条件 の検討

年次大会 一般演題

2016年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 中田 久美子1),河野 博臣2),吉田 雅人2),早川 繁2),吉田 薫3),吉田 学4), 山下 直樹1,2)

Abstract

【目的】

高度乏精子症患者や無精子症でTESEにより精子を獲得した患者に対して極少数精子の確実な凍結法の開発が必要とされている.我々は,極少数精子を簡便かつ確実に凍結保存するデバイス(MAYU)を独自に開発し報告した(特許出願中).今回,MAYUを用いた精子凍結保存液の比較,凍結液のVolume の検討を行った.

【方法】

実験1:研究用に提供された凍結前の運動性が50% 以上の28名の精子を用いた.検討する凍結保存液としてSperm Freeze(オリジオ,以下SF),TYB(日鉱日石J Xエネルギー), TYBを10% 混合したSF(以下,ST)の3種を用意した.それぞれの保存液を精子懸濁液と等量混和し,クライオチューブ(以下,チューブ)とMAYUにて凍結した.チューブの凍結は液体窒素蒸気に5分暴露後,液体窒素に浸漬した.MAYUの凍結は-80℃(毎分- 3℃,35分)までProgram Deep Freezerにより緩慢凍結後,液体窒素に暴露し,凍結した.チューブの融解は37℃の温水中で行い,MAYUの融解は37℃のホットプレート上で行った.融解直後の精子の運動率測定はMakler chamber,運動性の比較解析はSCAを用いて行った.
実験2:研究用に提供された凍結前の運動性が50% 以上の3名の精子を用いた.MAYU での凍結液dropのVolumeを0.1,0.3,0.5,1μlとし,各ドロップ2個にICSI 用のガラスキャピラリーで吸引した運動精子を1匹ずつ入れた.実験1と同じく凍結融解を行った.融解後の回収精子数とEosinYによる生存率を測定した.

【結果】

実験1より,チューブを用いた凍結融解精子(n=22)の運動率は,SF23.1±14.9%,TYB 29.1±21.5%,ST 43±23.8%となり,STを保存液として用いた場合が有意に高かった(P<0.05).MAYU(n=5)の凍結融解後の運動率はSF 7.1±3.5%,TYB 8.5±3.8%,ST 8.2±3.8%となり,有意差は見られなかった.同じ患者の精子(n=11)をMAYU とチューブ
でSTを用いて凍結融解した後の精子の運動性を比較したところ,有意差は見られなかった.
実験2より,すべての凍結ドロップで融解後,精子を回収できた(24/24,100%).
また,EosinYによる染色の結果,全精子の生存が確認できた(24/24, 100%).

【考察】

実験1より,MAYU ではSTの使用によりチューブと同等の有効性が確認できた.実験2より,MAYU を用いた精子凍結保存において,凍結液のVolumeが0.1もしくは0.3μlの方が融解後の精子の確認がより迅速に行えた.

【結論】

MAYU を用いた精子凍結保存法は高度乏精子症患者精子,TESE 患者の精子に応用可能であることが示唆された.

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