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精子凍結前の冷却方法についての 検討

年次大会 一般演題

2016年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 加賀 朝子,石川 聖華,中山 順樹,向江 真璃,白築 章吾,中村 好佑,佐久間 友香,毛利 汐菜,荒井 勇輝,原 利夫

Abstract

【目的】

現代の不妊治療において,患者のニーズに合わせた治療を行うための精子凍結保存は有用である.現在ヒト精子凍結の方法にはプログラムフリーザー法や液体窒素蒸気凍結法が主に使用されている.プログラムフリーザーと液体窒素蒸気凍結法を比較すると冷却過程での温度管理がすぐれているプログラムフリーザーのほうが融解後精子の生存率が高いと考えられている.しかし,機械自体が高価であることや大量の検体を一度に凍結するには手技が煩雑である.そのため臨床では液体窒素蒸気凍結法が広く用いられている.本検討では冷蔵庫内で緩慢に冷却した後凍結を行うことで,プログラムフリーザーでの凍結過程における温度変化に近づけた際の精子の融解後運動率および高速運動率を従来法と比較検討した.

【方法】

2016年2月~ 2016年7月までに研究の同意を得られた患者(36名)を対象とした.精子は単層パーコール法を行い濃縮洗浄後,精子浮遊液を作製した.精子浮遊液とSperm Freeze( Ferti Pro)を1:1の割合で混ぜた.これを半量ずつ分け,家庭用冷蔵庫内(4℃)で3時間冷却後凍結を行った群(A 群)とすぐに凍結を行った群(B 群)とに分けた.これらの融解後の運動率と高速運動率をt 検定にて比較検討をした.

【結果】

融解後運動率の平均はA 群23.00%,B 群21.53% (p=0.10).高速運動率の平均はA群8.91%,B群7.45%( p=0.03)だった.運動率において,2群間に有意差は認められなかった.高速運動率では有意差(p<0.05)が認められA 群がB 群よりも高速運動率が高いという結果となった.

【考察】

精子を凍結保存しておくことは不妊治療において有用性が高い技術である.しかし,融解後精子生存率は低下するデメリットがある.本検討の結果から,運動率,高速運動率ともに冷蔵庫内で冷却したほうが従来法よりも高い傾向がみられ,特に高速運動率は有意に高かった.凍結前に冷蔵庫内で冷却することで,プログラムフリーザー同様,緩慢な冷却が可能となったためと考えられる.

【結論】

本検討により,凍結保存前の温度変化を緩慢にすることで,従来の方法に比べ高速運動率が有意に高くなることが示された.今後はさらに症例数を増やし,新たな凍結条件を探索と凍結精子の融解後所見向上を目指したい.

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