Papers and Abstracts

論文・講演抄録

二重筒式遠沈管(ラピッツ)を用いた精子調整法の検討

学術集会 一般演題(ポスターセッション)

2017年度 学術集会 一般演題(ポスターセッション)

発表者:荒牧 夏美・泊 博幸・國武 克子・内村 慶子・竹原 侑希・下瀬 瞳・久原 早織・吉永 菜都美・西村 佳与子・本庄 考・詠田 由美

アイブイエフ詠田クリニック

Abstract

【目的】
ARTにおける理想的な精子調整方法の条件は,効率良く運動良好精子を回収することに加え手技が簡便であることが重要である.
そこで本研究では,精子調整における遠心処理後の精子ペレットの回収を容易に行うことが期待される新たな遠心用デバイス(二重筒式遠沈管:ラピッツ)に着目した.
ラピッツは,内筒と外筒からなる二重筒式遠沈管であり,遠心処理後に内筒を引き抜くことで内筒内の上清を一挙に除去することができる.
そのため,素早い上清除去と精子ペレットの再汚染防止も期待される.
本研究は,精子調整の手技の簡易化を目的とし,ラピッツを用いた精子調整法の臨床的有用性を検討した.

【方法】
精液検査後破棄予定となった精液を,患者の同意のもと供試検体とした.
検討1:同一精液検体を従来の遠沈管(従来群)とラピッツ(ラピッツ群)に等量に分け,連続密度勾配遠心法による精子調整後の所見を比較した.
検討2:菌浮遊液を作成し従来群とラピッツ群において遠心処理後,沈渣液を寒天培地に播種し細菌培養を行い,従来群とラピッツ群の細菌除去能を評価した.
検討3:新人スタッフおよび熟練スタッフにおいてラピッツを用いた連続密度勾配遠心法による精子調整を行い,処理後の所見を比較することで技術介入度を評価した.

【結果】
検討1:処理前の精液量は2.8±1.3 ml,運動精子濃度は30.3±17.3 ×106/ml,精子運動率は53.5±10.9% であった.
処理後の従来群とラピッツ群の運動精子濃度(×106/ml)は,各17.0±14.7, 14.3±13.1,精子運動率( %) は,各78.5±11.7, 87.2 ±11.5,処理時間(秒)は,各51.4±8.0,37.5±5.6 であり,ラピッツ群において精子運動率と処理時間が有意に改善した(p<0.01).
検討2:処理後の沈渣液を播種して形成された細菌コロニー数は,各16.0±2.1, 6.0±0.6であり,ラピッツ群において有意に高い細菌除去能を示した(p<0.01).検討3:熟練スタッフと新人スタッフにおける精子調整後の所見は,運動精子濃度(×106/ ml )は,各7. 7±4. 4,5.7 ±2.7,精子運動率( %) は,各81.1±17.5, 76.8±23.6であり,全ての項目において有意差はなかった.

【結論】
ラピッツは遠心処理後内筒を抜去するのみで容易に上清除去が可能であり,精子調整時間は有意に短縮した.
また,ラピッツ群の精子運動率および細菌除去能が従来群と比較し高かったことから,ラピッツは,上清除去後に管壁面の夾雑物が精子ペレットに混入することを回避できることが示唆された.
さらに,新人スタッフでも容易に良好な結果を得ることが出来たことから,ラピッツを用いた精子調整法は臨床的に有用であると考える.

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