Papers and Abstracts

論文・講演抄録

2種類のSingle Culture Mediumを用いた培養成績の比較

学術集会 一般演題(ポスターセッション)

2017年度 学術集会 一般演題(ポスターセッション)

発表者:阿部 亜佳音・武田 信好・鈴木 寛規・船山 麻由子・佐藤 百合子・田中 可子・三箇島 睦美・鈴木 雅美・小田原 靖

ファティリティクリニック東京

Abstract

【目的】
現在,培養液交換が不要なSingle Culture Medium(SCM)が各社から販売されている.
当院でもSequential Mediumと数種類のSCMとの培養成績の比較を行い,SCMの有用性を示してきた.
しかし,SCMの中でも培養後の発生に有意差が認められるものもあり,各施設の培養環境に適したmediumを使用する必要があると思われる.
本研究では,ONESTEP medium®( ナカメディカル社:以下,NAKA)と,同じくSCM であるGeri® 1-step medium(Genea BIOMEDX 社: 以下,Geri )を用い,培養成績を比較・検討した.

【方法】
2017年6月~ 7月に採卵を行い,hCG 投与後38 ~ 39時間で裸化処理を行った時点で,MⅡ卵が2個以上得られた30 ~ 45歳(39.6±3.5),25症例を対象とした.
ICSI 後の卵子をランダムに2群に分け,A 群:NAKA(78個),B群:Ger(i 66個)で作製した培養用ドロップで個別にて胚盤胞培養を行い,それぞれの胚盤胞到達率,良好胚盤胞率を比較した.
受精確認時に両群に正常受精卵がない症例は検討から除外し,良好胚盤胞は3BB 以上とした.
培養は37.0℃,6.0%CO2,5.0%O2の条件下で, ミニインキュベータ(COOK 社)もしくはEmbryoScope®(VitroLife 社)にて行った.
なお,1症例につき1枚の培養用ディッシュを使用し,培養環境は両群とも同等の状態とした.

【結果】
各群の正常受精率は,A 群:73.1%(57/78),B 群:83.3%(55/66)であった.
胚盤胞到達率,良好胚盤胞率は,それぞれA 群:71.9%(41/57),54.4%(31/57),B 群:69.1%(38/55),47.3%(26/55)で,各成績に有意差は認められなかった.

【結論】
当院では,これまでに比較してきた数種類のSCMの培養成績から,最も安定し成績が良好であったNAKAを主軸に使用してきた.
今回,新たにGeriと比較し,良好胚盤胞率ではNAKA が高い傾向にあるものの有意差は認められず,胚盤胞到達率では同等の成績となった.
Geriは他のSCMに比べ1製品あたりの容量が多く,分注後数日間使用することで培養成績の低下が懸念されたが,特に影響なく良好な成績が得られた.
今後,症例数を増やし,さらなる検討を行っていきたい.

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