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Excellent ARTを目指したDr.の役割

塩谷 雅英

2017年度 年次大会-講演抄録 | 理事長講演

学会講師 : 塩谷 雅英

Abstract

吉田仁秋会長がテーマとして掲げられた「Challenge toExcellent ART」は,本格的に少子高齢化時代に突入し社会構造の変革が迫られる我が国においてARTも新しい時代に即した姿を模索せざるを得ず,そのような状況下でちょうど第20回という節目を迎える日本IVF学会のテーマとしてふさわしいものと言わざるを得ない.
本講演では,この「Challenge」においてDr.が果たすべき役割を次の3つの側面に分けて考えてみたい.
第一は医師の知識・技術について,第二は,「Excellent ART」を実現するためのシステム構築について,そして第三はチーム医療における構成メンバーであるスタッフ一人一人が共有できる医療理念の提唱である.

第一の医師の知識・技術については,排卵誘発,採卵,胚移植というARTの根幹をなす技術,さらには適切な黄体管理の重要性について論じたい.
これらの技術の中でも特に胚移植はその成否によっては治療成績をも左右しかねない重要な手技である.そこで本講演では,当院が考える「Excellent」な胚移植について,そしてそこに至るまでの当院の「Challenge」をご紹介する.

第二の,「システム構築」についても,当院の例をご紹介したい.
当院では,電子カルテとファイルメーカーで作成したデータベースを,院内に設置された120台の端末によってネットワークを構成して運用している.
「Excellent ART」においては患者一人一人にひも付けられる複雑で多くの情報を瞬時にスタッフ全員が共有できることが必須と考える.
そして患者一人一人にオーダーメイドのきめ細かい治療を実現するためには患者の現在そして過去の情報に容易にアクセスできる環境が必要と考える.
当院の場合,より優れた「システム構築」に対する「Challenge」は終わることがな い.

第三の役割は,医療理念の提唱である.
いうまでもなく,「Excellent ART」はDr.のみで実現できるものではなく,胚培養士,看護師,そしてその他の多くのスタッフによって構成されるチームメンバーが,有機的に連携することで初めて達成できるものであろう.
そのようなチームを作るためには,スタッフが共有できる医療理念が必要であり,それを提案するのはやはりチームリーダーを担うべきDr.の役割の一つである.
当院では,「患者様へのクレド」そして,「職員へのクレド」,さらには「品質方針」という3つの形で医療理念を提唱しスタッフ全員が共有している.
講演の中ではこれら当院の医療理念を詳しくご紹介するとともに,この医療理念をスタッフに浸透させるための方法についてもご紹介する予定である.

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