Papers and Abstracts

論文・講演抄録

IVA(in vitro activation)の臨床応用

河村 和弘

2017年度 年次大会-講演抄録卵巣機能不全患者への挑戦

学会講師:河村 和弘

Abstract

卵巣内の卵胞は加齢と共に減少するが,卵巣内の卵胞が急激に減少し,40 歳未満で卵胞が発育しなくなり閉経する早発卵巣不全(POI; primary ovarian insufficiency)という疾患が存在する.
POIは全女性の100人に1人に自然発生し,排卵がおこらないため,難治性の不妊となる.これまで高齢による卵巣機能不全やPOI 患者の最も有効な治療法は提供卵子を用いた体外受精胚移植であり,自らの卵子で妊娠することは非常に困難であった.
このような患者が自らの卵子で妊娠することを可能とするため,卵巣内に残存する卵胞に着目し,基礎・橋渡し・臨床研究を行ってきた.卵巣断片化によるHippoシグナルの抑制とPI3K-Aktシグナルの活性化を同時に行うことで,原始卵胞を活性化させつつ,2次卵胞の発育も誘導する方法を考案し,動物実験により,本法の安全性を十分確認した後,倫理委員会の承認と患者の同意の下,早発卵巣不全患者に対し臨床応用を開始した.
その結果,卵胞活性化療法(IVA: in vitro activation)という新たな不妊治療法を開発し,2013 年に世界初のIVAによるPOI 患者の妊娠・出産例を報告した.
IVAの早発卵巣不全患者における臨床成績は,2 報目の論文を発表した時点では,37名の早発卵巣不全患者(平均年齢37.2歳,平均無月経期間5.9年)に対しIVAを実施し,37名中20 名で残存卵胞を認めた.
20 名中9 名で卵胞発育が認められ,7名の患者から成熟卵子が得られて体外受精を行った.
5 名の患者に胚移植を実施し,3 名が妊娠した.1名は妊娠初期に流産となったが,2 名は順調に経過し,それぞれ3,254gの男児,2,970gの女児を出産した.
現在,中国,スペイン,ポーランドでIVAの追試に成功し,妊娠例が出ている.

本講演では,臨床研究を中心に最新の成果を紹介し,今後の研究展望につき考察する.

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