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ディープラーニング技術による牛体外受精卵AI解析システムの開発

年次大会 一般演題

2018年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 篠田 昌孝1),岩田 未菜1),大橋 武史2),出田 篤司3)

Abstract

目的:タイムラプス撮影とディープラーニング解析により、受精卵の定量的、客観的な発育段階や品質状態の自動評価が可能になりつつある。我々は、牛体外受精卵のタイムラプス画像を、4つの解析アルゴリズム(認識解析、動き解析、形態解析、数値解析)により、クラウド上で自動AI解析できるシステムを開発した。

方法:この牛受精卵AI解析システムは、①インキュベータ内に設置されたタイムラプス観察装置、②牛受精卵専用培養ディッシュ、③クラウド上のAI解析ソフトウエア、④ブラウザ閲覧が可能なWebダッシュボードで構成される。
タイムラプス観察装置は、20分間隔で、5つの焦点位置(18ミクロンステップ)、最大6つの培養ディッシュを連続撮影することが可能である。撮影のための光学倍率、撮影時間間隔、焦点位置数、ステップ数などの撮影条件は、撮影による光毒性の低減、胚培養士の所見評価に必要な光学的解像度、ディープラーニング解析で必要な画素数により最適化されている。撮影されたタイムラプス画像は、培養ディッシュID番号、撮影時刻などと紐づけされて、自動的にクラウドに転送が行われ、個別の受精卵ごとに、受精卵ID番号が付与され、ディープラーニング解析、画像解析、データベース化が行われる。

結果:クラウド上のAI解析ソフトウエアは、ディープラーニング技術を利用しており、受精卵の特定の領域を認識することが可能な認識解析、受精卵の発育段階や品質状態を認識することが可能な形態解析などが可能である。
認識解析では、撮影した受精卵画像の解析したい特定領域を、胚培養士が形状情報として数千枚ラベリングすることで、特定領域の形状の特徴量(教師データ)を学習させた。これにより、例えば、受精卵全体の形状を認識させて、受精卵の形状、直径、面積、真円度、個別培養ウェル内での受精卵位置などを、時系列データとして解析することが可能である。また、受精卵内部の細胞塊の形状を学習させて、内部細胞塊の面積を、時系列データとして解析することが可能である。この内部細胞塊の面積の時間変化を評価することで、桑実胚におけるコンパクション現象を、この面積の変化(S字カーブ)により検出することが可能である。また、胚盤胞期の内部細胞塊の面積を学習させて、胚盤胞期の内部細胞塊の面積の時間的な変化を評価することにより、収縮現象における収縮時刻、面積差、強度、回数、周波数などを評価することが可能である。
今後、様々な画像解析技術、ディープラーニング解析技術、数値解析技術の進展により、タイムラプスで撮影された受精卵画像の形態学的な解析ばかりでなく、時系列的な解析や、大量の受精卵解析データによる統計的な解析が進むことが期待される。

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