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不妊治療における酸化ストレス測定の有用性

年次大会 一般演題

2018年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 大内 茉湖,松本 綾香,庵原 聖未,長谷川 麻理,坂井 和貴,須賀 真美,
鵜久森 夏世,兵頭 慎治,伊木 朱有美,鍋田 基生

Abstract

目的:酸化ストレスは生活習慣病など多くの疾患形成や老化促進と関連している.しかし,不妊症との関連は明確ではない.近年,血清中の酸化ストレス値(d-ROMs)および抗酸化力値(BAP)が簡便に測定できるようになり,当院でも不妊治療目的に受診した患者のスクリーニング検査にd-ROMおよびBAPテストを組み込み,酸化ストレスの評価を行っている.今回,血清中の酸化ストレスと受精および胚発育との関連について調べ,不妊治療における酸化ストレス測定の有用性について検討した.

方法:2016年11月15日から2017年12月18日までに当院で採卵を実施した125症例,185周期を対象とした.回収した卵はConventional-IVF(c-IVF)またはICSIを行った.d-ROMs / BAP x 100の値を酸化ストレス度(Oxidation Stress Index : OSI)とし,13.0未満を正常・軽度,13.0以上18.0未満を中等度,18.0以上を強度の酸化ストレス状態と仮定し,それぞれの受精率・初期胚形成率・胚盤胞到達率を比較した.

結果:OSIが「正常・軽度」,「中等度」,「強度」におけるc-IVFでの正常受精率は各63.6% (56/88) , 58.9% (178/302), 58.1% (133/229),ICSIでは各77.8% (63/81) , 78.9% (224/284) , 78.9% (195/247) ,初期胚形成率は各98.3% (117/119) , 94.8% (381/402) , 95.1% (312/328)となり,いずれも有意な差は認められなかった.胚盤胞到達率は各67.0% (63/94) , 56.2% (187/333) , 50.2% (119/237) となり,「正常・軽度」に比べ「強度」において有意に低くなった.良好胚盤胞到達率は各25.5% (24/94) , 20.7% (69/333) , 15.6% (37/237) となり,有意な差はなかったがOSIが高くなるにつれて低下する傾向にあった.

考察:血清中のOSIが高い2群において,胚盤胞および良好胚盤胞到達率が低下したことから,酸化ストレスと胚発育には関連がある可能性が示唆された.血清の酸化ストレス値は卵胞液の酸化ストレス値と正の相関があると報告されており,卵胞液の酸化ストレスが受精後の胚発育能に影響を及ぼしているのではないかと考えられた.これらのことから,血清中の酸化ストレスと胚発育には関連性がある可能性があり,不妊治療において酸化ストレス測定は,より良い胚を育てるために有用となると考えられた.

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