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体外受精反復不成功(RIF)症例に対する我々の取り組み

中川浩次

2018年度 年次大会-講演抄録 | ART Frontline

学会講師 : 中川浩次

Abstract

胚が子宮に着床するための条件は、「良好な胚」「十分な子宮内膜脱落膜化」「適正な母体環境」である。着床前スクリーニング検査の出現以前は、原因が特定できない体外受精反復不成功(RIF)症例の原因は胚の染色体異常として説明されて来たが、近年、euploid胚を移植しても約半数は着床しないことが明らかとなり、上記条件の胚以外の因子の検索が日常診療でも必要となってきた。当院では本年4月より「着床不全外来」を開設しRIF症例に対して系統的に原因検索を行い、原因に沿って治療を行っている。本講演ではその一部を紹介する。

・慢性子宮内膜炎(CE)の検査と治療

RIF症例に対しては、全例子宮鏡にて子宮内腔のチェックを行い、CEと診断された場合には生剤による内服療法を行う。さらにSecond LookによりCEが改善していることを確認した後、胚移植を行う。

・ビタミンDの測定

近年、ビタミンDが女性の免疫系に影響を与えていることが明らかとなり1)、その不足が着床に不利な免疫状態を惹起することが懸念される。貯蔵型ビタミンDを測定し、不足している場合はビタミンDを補充し、有利な免疫状態へ改善するように努めている。

・免疫学的RIFの検索とその治療

母体にとって受精卵は半分非自己であるため、免疫学的拒絶もRIFの主因の一つと考えられる。末梢血中の1型および2型ヘルパーT細胞の比率を検討することで、免疫学的拒絶の有無を確認し、拒絶が強いRIF症例には免疫療法を実施する2)

・着床の窓(Window of Implantation; WOI)のズレ

子宮内膜が胚を受け入れることができる至適な期間には限りがあり、その期間の前でも後でも子宮内膜は胚を受け入れることができない。RIF症例の一部にはこのWOIが通常考えられている時期(胚盤胞の場合、P+5)とはズレていることがある。このズレを認めた場合、そのズレの程度を考慮して胚移植を行う。

 

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