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出生時における凍結胚由来児と新鮮胚由来児間に体重差が生じる原因の解析

年次大会 一般演題

2018年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 一色 納菜子1),水野 里志1),福田 愛作1),森本 義晴2)

Abstract

目的:生殖補助医療の安全性を検証するうえで、出生時の予後を調査することは非常に重要である。これまで生殖補助医療の出生児への影響として、凍結融解胚移植由来の出生時体重は新鮮胚移植由来の出生児のそれと比べて重くなることが報告されている(F. Belva et al, 2008)。当院でも同様に、凍結胚由来児の出生時体重の方が新鮮胚のそれと比べて重くなっている。今回、我々は出生時調査より凍結胚由来児の体重が重くなる原因を解析したので報告する。

 

方法:2008年1月から2016年12月の間に新鮮胚移植(Fresh群)及び凍結融解胚移植(Cryo群)を施行し単児出産に至った2893児を対象とした。まず検討1として、Fresh群2203児とCryo群690児の出生時の体重、身長、在胎週数を両群間でそれぞれ男女別に比較した。次に検討2として以下の検討を行った。検討1の両群を媒精法別に一般体外受精由来児のIVF群と顕微授精由来児のICSI群の2つに分けた。Fresh群とCryo 群のそれぞれの群内で媒精法間の、出生時の体重、身長、在胎週数をそれぞれ男女別で比較した(Fresh-IVF群vs Fresh-ICSI群、Cryo-IVF群vs Cryo-ICSI群)。

 

結果:検討1では、女児において出生時体重がCryo群にFresh群に比べて有意に重くなった(2989.86±480.5g vs 2920.14±419,4g p<0.01)。検討2では、女児においてCryo-IVF群がCryo-ICSI群に比べて出生時体重、身長、および在胎週数が有意に高い値を示した(3053.44±467.4g vs 2967.78±481.9g p<0.05、48.74±2.4cm vs 48.19±2.6cm p<0.01、39.07±1.9週vs 38.69±2.0週 P<0.01)。検討1、2ともに上記以外の、体重、身長、在胎週数に有意な差は認められなかった。

 

考察:凍結融解胚移植由来の出生時体重は新鮮胚移植由来の出生児のそれと比べて重くなることが報告されている。今回の検討では、女児の出生時体重はCryo群の方がFresh群に比べて有意に重くなった。さらに、媒精法別の解析から女児においてCryo-IVF群の出生時体重、身長、および在胎週数がCryo-ICSI群に比べて有意に高い値となった。一般的に在胎週数が長くなるほど出生時の体重が重くなるため、女児のCryo-IVF群では在胎週数が長くなったことに起因して、出生時の体重が重くなったと考えられた。このため、出生時における凍結胚由来児と新鮮胚由来児の体重差は、一般体外受精-凍結胚移植由来女児の在胎週数が長くなったことに起因している可能性が示唆された。今後は女児のCryo-IVF群で在胎週数が長くなった原因を解析する予定である。

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