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外気温が精子の運動性に及ぼす影響について

年次大会 一般演題

2018年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 岸田 拓磨,菊地 裕幸,山田 健市,菅野 弘基,岸田 理英,佐藤 那美,
馬場 由佳,結城 笑香,片桐 未希子,吉田 仁秋,

Abstract

目的:当院では、患者が精液を自宅等で採取し持参(以後、持参)する場合、タオル等で包み保温するように指導している。しかしタオルで包んであっても、受付の際に容器が冷たく感じる検体がある。精液が冷却されることで精子の運動性に影響を及ぼす場合、冬期中の持参方法の改善に取り組む必要がある。そこで今回我々は、同一症例の冬期と夏期に自宅あるいは院内で採取した精液の検査結果を比較し、精液が低温に曝されることで精子の運動性に影響を及ぼすかどうか検討した。

方法:2016年1月から2018年2月の間、宮城県仙台市の月間平均気温を参考に、6月から9月(月平均気温:18.5 ~24.2℃)を夏期、12月から3月(月平均気温:1.6 ~4.9℃)を冬期とした。(検討1) 夏期と冬期の両期間中にそれぞれ持参精液を用いてAIHを実施した99症例を対象に、同一症例の夏期と冬期に持参した精液の検査結果を比較した。(検討2) 冬期中に院内採取と持参の精液をそれぞれ使用してAIHを実施した24症例を対象に、同一症例の冬期における院内採取精液と持参精液の比較を行った。比較項目は精子調整前の精液量、精子濃度、運動率、調整後の総運動精子数とした。なお、精子調整は密度勾配遠心処理後、沈渣を精子洗浄液で洗浄し、最終調整量を0.2mlに濃縮することで実施した。

結果:(検討1) 夏期と冬期の持参精液を比較すると、精液量と精子濃度には有意な差は見られなかったが、運動率(夏期平均:52.5%vs. 冬期平均:42.0%)と調整後の総運動精子数(夏期平均:750万個vs. 冬期平均:380万個)に有意な差が見られた。(検討2) 冬期中において院内採取精液と持参精液を比較すると、精液量、精子濃度には有意な差は見られなかったが、運動率(院内採取平均:48.5%vs. 持参平均:34.2%)と調整後の総運動精子数(院内採取平均:410万個vs. 持参平均:180万個)に有意な差が見られた。

考察:持参中に精液が冷気に曝されることで精子の運動能が低下し、調整後の運動精子数が減少することが示された。AIHにおいて、子宮内に注入する精子数の減少は妊娠率に影響することが推測される。また、今回の結果から、タオル等で容器を包む指導方法では保温機能が低いことが判明したため、今後は保温方法の改善に取り組みたい。

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