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媒精方法の違いによる出生児性比への影響について

年次大会 一般演題

2018年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 中川 奈緒子,岸 加奈子,古橋 孝祐,岩﨑 利郎,伊藤 宏一,水澤 友利,
松本 由紀子,苔口 昭次,塩谷 雅英,

Abstract

目的:厚生労働省の「出生に関する統計」によると、日本の出生児性比は毎年1.05~1.06と、やや男児が多い。ARTにより生まれた児の性比について、さまざまな検討がされており、以前当院では、胚盤胞移植における胚の成長速度、移植する胚の種類が出生児性比に影響を及ぼすことを報告した(緒方ら, 2012)。その他にも、媒精方法の違いが出生児性比に影響するという報告もあることから、今回我々は、当院でのART時の媒精方法(c-IVF又はICSI)の違いに着目し、それぞれの出生児性比への影響について後方視的に検討を行ったので報告する。

方法:2011年1月から2016年9月に当院にて単一胚盤胞移植で分娩に至り出生後の調査により性別が判明した3825児を比較検討した。c-IVF群は2613児、ICSI群は1212児であり、両群間において採卵時年齢(c-IVF群34.2±9.6歳vs. ICSI群34.3±9.7歳)、移植時年齢(c-IVF群35.1±9.6歳vs. ICSI群34.9±9.7歳) に有意な差は認めなかった。出生児性比は、女児を1.0としたときの男児の比率で示した。出生児性比を比較するにあたり2016年の日本の出生児性比を基準とした。また、有意差検定にはχ²検定を用い、双胎妊娠であったものは除外した。

結果:2016年の日本の出生児性比は1.06 (男児501,880人vs.女児475,098人) であった。ICSI群では1.03 (男児616人vs.女児596人)となり、日本の出生児性比と比べ有意な差は見られなかった(p=0.70)。c-IVF群では1.16(男児1403人vs.女児1210人)となり、日本の出生児性比と比べ男児が有意に多い結果となった(p=0.018)。また、c-IVF群とICSI群で比較したところ、有意差はないもののc-IVF群で男児が多い傾向にあった(p=0.098)。

考察:c-IVF群と日本の出生児性比を比べると男児が有意に多い結果となった。これについては、体外培養によりXX胚がXY胚に比べて着床後、発生停止しやすくなる(Ellis et al., 2014)、グレードの良い胚は出生児性比が高い(緒方ら,2012)などの報告がある。これらのことから、体外培養でかつ、胚移植においてグレードの良い胚を優先的に移植するARTは、出生児性比の上昇につながったと考えられる。一方で、c-IVF群においては有意差があり、ICSI群では有意差がない結果となった。これについては、透明帯糖タンパク質がY精子に感受性が高い(Grant et al., 2010) という報告があることから、c-IVFとICSIでの受精の過程が異なることが原因と考えられ、c-IVFにおいて、Y精子が選別されやすいメカニズムの存在が示唆された。

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