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当院におけるPiezo-ICSIの有用性についての検討

年次大会 一般演題

2018年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 小泉 あずさ,平尾 綾子,徳本 愛佳,大橋 いく子,矢野 浩史

Abstract

目的:当院では顕微授精の際、スパイクがついたICSI針で透明帯を貫通し細胞膜を吸引することで破膜する方法(従来法)を行ってきた。対して、Piezo-ICSI(ピエゾ法)はインジェクションピペット先端に微弱な振動を与えることで、透明帯及び細胞膜を破膜するICSIの一つの手法である。我々は更なる成績改善を図るため、2017年よりピエゾ法を導入した。今回、従来法とピエゾ法の受精および培養成績の比較を行い、ピエゾ法の有用性について検討した。

方法:2016年1月~2018年4月において、従来法を行った221周期675個、ピエゾ法を行った156周期476個の成熟卵を対象とした。従来法とピエゾ法の正常受精率、変性率、胚利用率を比較した<検討1>。さらに、ICSI時のピペット刺入後、卵子中央まで押し進める間に破膜せず十分伸展した卵子(高伸展卵子)と、伸展されないうちに細胞膜が破れた卵子(低伸展卵子)に分け、正常受精率、変性率、胚利用率について従来法とピエゾ法で比較した<検討2>。

結果:正常受精率(従来法vsピエゾ法)は71.9%vs77.7%、変性率11.3%vs6.3%、胚利用率37.3%vs42.0%であり、ピエゾ法において有意な正常受精率の上昇と変性率の低下を認め(p<0.05)、胚利用率は上昇傾向を示した<検討1>。高伸展卵子における正常受精率(従来法vsピエゾ法)は74.2%vs82.0%、変性率8.8%vs0.8%、胚利用率37.6%vs45.7%となり、ピエゾ法において有意に正常受精率、胚利用率が上昇し、変性率は低下した(p<0.05)。低伸展卵子では正常受精率49.2%vs58.0%、変性率34.9%vs30.7%、胚利用率33.9%vs25.3%となり、正常受精率、変性率に改善傾向を認めたが、有意差はなかった<検討2>。

考察:ピエゾ法の導入により、従来法と比べて有意に受精成績が改善した。特に、高伸展卵子では、ピエゾ法を行うことで卵細胞膜突破時の細胞質の吸引を回避できるため、卵子への負荷が低減され、変性率が低下したと考えられた。その結果、正常受精率が上昇し、より多くの移植可能胚を得ることができたピエゾ法は有用であると考えられた。また、低伸展卵子においても受精成績の改善傾向を認めたが培養成績には差はなかった。今後、卵細胞膜の伸展性の低い卵子に対するICSI技術を改良することで、さらなる受精および培養成績の改善が期待できると思われる。

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