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日本の生殖の展望

齊藤英和

2018年度 年次大会-講演抄録 | Future perspective

学会講師 : 齊藤英和

Abstract

この講演のときには皆さんも、2016年のART治療総数が44万件台であることをすでに、知っていると思う。2016年も前年に比較すると上昇した。統計を取り始めてから、一度も減少することはなく、常に上昇している。しかし、前年からの上昇差も2万台であり、最近数年間の中では最も少ない伸びとなっている。不妊治療数に影響を及ぼす因子には、生殖年齢人口、結婚・平均出産年齢、未婚率などいろいろな要因が関与しており、ARTの未来の傾向を予測するのは不可能に近い。

しかし、2018年6月の2017年人口動態統計(概数)では、2017年には約94万人の出生数があった。第二次ベビーブームの出生数209万人(1973年)であったので、2017年はピーク年に比較すると45.2%の出生数となる。ピーク年に生まれた方は現在45歳であり、今後45年間に45歳の年齢の方は45.2%まで減少するため、生殖年齢にある人口も同様に減少することになる。特に、1973年から1986年までの16年間の減少は急で、1989年はピーク時の59.6%の出生数となる。

結婚に関しても、結婚する年齢は近年男女とも遅くなっている。男性女性では1980年が27.8歳・25.2歳であったが、2015年には31.1歳・29.4歳と35年間に3.3歳・4.2歳高齢化している。また、第一子出産平均年齢も1980年が29.2歳・26.4歳であったが、2015年には32.7歳・30.7歳と35年間に3.5歳・4.3歳高齢化しており、晩婚・晩産化が進んでいる。

また、人生の在り方に対する多様な考え方が浸透してきておりLGBTや未婚化が進んでいる。どの年齢層でも未婚化が進んでいるが、特に男女の妊娠適齢期の25-29歳では1960年の未婚率が男性46%、女性22%であったが、2015年には男性72.7%、女性61.3%に上昇した。また、35-39歳の群においても2015年で男性35.0%、女性23.9%が未婚であり、未婚化が進行している。

このような日本現状の中で、生殖植補助医療は増えており、特に生殖補助医療においても、症例の高齢化が問題になっている。2007年の生殖補助医療の治療は症例ごとのオンラインとなり、詳細な状況を検討することができるようになった。日本における年齢群ごとの出生数を検討してみると、年齢群が高くなるほど、生殖補助医療による出生率が高くなっている。これ以外にも解析することにより、生殖補助医療で今後考慮していかなければならない点についてもあきらかとなってきた。

本講演では、このような日本現状や生殖補助医療の現状、問題点を解説し、日本の生殖の今後の在り方について、展望したい。

 

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