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明日から始めるFT治療:実践をめざして

福田愛作

2018年度 年次大会-講演抄録 | Current Topics

学会講師 : 福田愛作

Abstract

卵管鏡下卵管形成は卵管通過障害に対する健康保険適用の治療法であり、FT(Falloposcopic tuboplasty)と略語で呼ばれ近年症例数がが増加している。当院ではHSGにて卵管近位部に閉塞や狭窄などの通過障害の認められた症例に対してFTを第一選択肢としている。FT後は精液所見に基づいてタイミング治療/人工授精を実施する。HSGにて卵管遠位部異常や腹腔内癒着の症例には腹腔鏡手術を考慮、腹腔鏡手術後にFTを実施する場合もあるが、あくっまで最終治療はARTである。

私は腹腔鏡下に30例のFTを行った経験からFT単独で実施可能と考え2000年より日帰り手術としてFT単独での実施を開始した。FTは経腟的に卵管口近くまでディスポのガイド・カテーテルを挿入しガイド・カテからバルーンカテーテルを突出させ、卵管口から間質部を経て卵管采部に向かって進展させることにより卵管を傷つけることなく閉塞部位の開放や狭窄部位の拡張を実施する。病変通過後に卵管鏡により逆行性に卵管内腔観察が可能であり障害部位の直視評価がその後の治療方針決定に有益となる。FFT実施後6か月間(年齢により前後)は一般不妊治療を実施する。

当院における4500症例統計では対全症例で25.4%(1143/4500)に妊娠が成立、両側罹患群では24.2%(899例)、片側罹患群では31.4%(244例)であった。FT実施1年以内妊娠成立を100とすると、妊娠例の80%以上はFT実施4か月以内、90%以上が8か月以内であった。年齢別妊娠率は、30歳以下で31.3%、30~34歳で30.3%、35~39歳で21.0%、40~44歳以上で8.7%と年齢上昇に伴い低下した。以上成績より我々は34歳以下ではFT後6か月間はタイミング治療や人工授精にて経過を観察、35歳以上では3~4か月間、40歳以上ではFT後1~2回の人工授精でART実施を推奨。FT後の子宮外妊娠発生率はHSG正常群と差はなく、日産婦の自然妊娠による外妊率との間にも差は認められなかった。現在の不妊治療では卵管性不妊イコールARTという概念が既成化しているが、患者は常に自然妊娠を希望している。女性不妊原因の中で最も頻度の高い卵管因子に対し、まずFTを試みることが患者の精神的、肉体的、経済的負担の点からも考慮すべき治療法と考えている。FTの具体的な方法やコツについても解説したい。FTは自然妊娠の期待できる、患者にとって優しい治療と考えます。皆さんも明日からFTを治療の選択肢に入れては以下でしょうか?

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