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生殖補助医療にて出生した児の予後

早川昌弘

2018年度 年次大会-講演抄録 | Symposium

学会講師 : 早川昌弘

Abstract

1970年代に体外受精がヒトで臨床応用されるようになって以来、生殖補助医療(ART)で出生する新生児(ART由来児)は増加してきている。日本産科婦人科学会の統計によれば、2015年にART で出生した児は51,001人である。同年の出生数は1,005,677人であるため、我が国の現状は出生20に1人がART由来児ということになる。

ARTでは人為的操作を卵子、精子、受精卵に加えるため、ARTが胎児、新生児に与える影響は重要な検討事項であり、2000年以降に多くの研究報告がされている。周産期予後については、ART由来児では早産・低出生体重児が自然妊娠に比べて多いことが知られている。早産が多い理由として多胎妊娠があげられてが、近年では単胎にても早産出生のリスクが高いことが報告されており、その原因はARTそのものではなく、親の不妊症、遺伝的素因に関連があると推測されている。先天異常についてもART由来児では発症率が高くなるが、その原因は不妊症といった親の条件によるものと推測されている。神経学的予後については、ART由来児は自然妊娠由来児に比べて脳性麻痺となるリスクが高く、その原因として多胎、早産・低出生体重が関連しているとされている。興味深いことに、認知発達についてはART由来児の方がすぐれている報告されている。また、ART由来児は小児期・青年期の癌発生のリスクが高いとの報告がある。

本講演では本学におけるART由来児の周産期予後の報告、過去の報告を元に短期予後および長期予後についての概説をおこなう。

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