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移植時の子宮内膜厚測定は妊娠、出産の予測因子となるか?

年次大会 一般演題

2018年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 岸 加奈子,江夏 徳寿,古橋 孝祐,岩﨑 利郎,松本 由紀子,苔口 昭次,塩谷 雅英

Abstract

目的:子宮内膜厚は7mm前後で移植可能とされるのが一般的であり、当院でも移植可否についての指標の1つとしている。しかし、移植時の子宮内膜厚(EMT)による臨床妊娠率の予測や出産の予測については、有用性はないという報告も見られる。そこで我々は、EMTが臨床妊娠率や流産率、移植周期数あたりの出産率(出産率)の予測因子として有用性があるかを後方視的に検討した。

方法:2011年1月~2016年12月の間、当院でホルモン補充周期にて良好胚盤胞(Gardner分類≧G3BB)を移植した凍結融解単一胚移植5414周期を検討対象とした。
まず、EMTと臨床妊娠率、及び出産率の傾向を分析し、それぞれにおけるEMTの閾値をROC解析にて算出した。続いてEMTを6 mmから12 mmの間を1mm間隔で7群に分け、それぞれが臨床妊娠率と有意な相関を示すか解析を行った。更に妊娠率、出産率を予測する独立した因子を求めるために、採卵時年齢、移植時年齢、血中エストラジオール(E2)値、血中プロゲステロン(P4)値、EMTの各因子においてロジスティック回帰分析を行った。

結果:EMTが増加するにつれ臨床妊娠率と出産率はそれぞれ、上昇傾向を示したが次第に横ばいになった。妊娠ならびに出産した患者のEMTのカットオフ値はそれぞれ、10.8mmと10.5mmであり、EMTの分布としては、約半数がカットオフ値未満であった。EMTを7つの群に分けた検討において、臨床妊娠をエンドポイントにして年齢補正を加えた単変量解析を行ったところ、8mm以上から有意な相関を認めた(オッズ比1.46、95%信頼区間1.15-1.84、p値<0.01)。更に、E2値、P4値、採卵時年齢、移植時年齢、EMT8mm以上の各因子が臨床妊娠率、流産率、出産率それぞれの予測因子となり得るか、ロジスティック回帰分析を行った。その結果、臨床妊娠率と出産率は採卵時年齢とEMT8mm以上で有意な相関が認められた。一方、流産については、全ての因子で相関が認められなかった。

考察:ROC解析で得られた臨床妊娠、出産した患者のカットオフ値を基準とすると約半数の患者がカットオフ値未満であった。一方で単変量解析によって有意な差が得られたEMT8mm以上を基準とした場合、95%の患者がEMT8mm以上であった。更に、単変量解析の結果では、EMT11mm以上で最も高い有意差が得られ、ROC解析で得られたカットオフ値とほぼ同等の値であった。これらのことから、臨床的なEMTのカットオフ値としては8mm以上が適当と考えられ、臨床妊娠率、及び出産率を予測する独立した因子であると示唆された。

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