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NIPT/PGTをはるかに超える胎児診断の現場からー胎児超音波画像がおりなすEBMとNBMー

夫 律子

2018年度 年次大会-講演抄録 | Symposium

学会講師 : 夫 律子

Abstract

わが国では母体血清中の胎児cfDNAによるNIPT(Non Invasive Prenatal Genetic Testing)が2013年に導入され、出生前診断に対する意識がかなり向上したが、諸外国のような初期スクリーニングの背景がないままNIPTが導入された結果、耳鼻科医・精神科医・内科医がNIPTを行うといった諸外国では見られないようなあきれた現象が起きて混乱をきたしている。そのため、あらためて超音波スクリーニングや初期ママ血清マーカー組み合わせ検査が見直されるようになっているのが現状である。

妊娠11-13週超音波検査はFTS(First Trimester Scan, 第一3半期検査)と言われておりFTSは染色体数異常スクリーニングとしての意義が高いほか、かつては第二・第三3半期に診断されていた多くの形態学的な先天異常が11-13週に診断されるようになり、もはや出生前診断において大きな位置を占めている。さらに最近では妊娠初期に子宮動脈血流や母体血清マーカーなどの組み合わせによりその後に起こりうる妊娠高血圧症(Hypertensive Disorders of Pregnancy, HDP)がかなり高精度で予知できるとの報告が出てきており、FTSはさらに臨床的に意義の高いものとなりつつある。つまりFTSの役割は遺伝学的スクリーニング、形態学的スクリーニングと形態学的診断、そしてHDP早期発見と周産期医学における重要な役割を担うことになる。クリフムでは妊娠13週までに詳細超音波検査により胎児スクリーニング・診断を行なっている。染色体異常が疑われる症例では絨毛検査により迅速QF-PCRによるトリソミー診断、G-band核型診断を行い、症例によりSNPmicroarray診断を行なっており、染色体異常判明後の妊娠継続例や形態異常が認められた症例ではフォローアップスキャンを継続し、小児専門医へのコンサルテーション、紹介などのコーディネートを行なっている。よく見られるトリソミー・モノソミーは超音波評価で強疑の陽性的中率が非常に高く、その他の染色体異常のほとんどは超音波評価で染色体異常疑い例から見つかる。したがって、クリフムでは超音波検査はNIPTやPGTをはるかに超える胎児診断ツールなのである。また脳異常の一部・心臓・顔面・腹部・四肢の形態異常のほとんどの症例は初期診断されその後のフォローアップスキャンの対象となり1-3週間ごとにスキャンを行い、小児専門医へコーディネートし分娩までのフォローを行なっている。

また、クリフムの特徴でもある第二3半期の”胎児脳ドック”ではかなり多くの脳発育障害が妊娠20週前後で確認される。脳発達異常の原因には遺伝子変異なども多いが、クリフムの神経超音波検査では脳画像を見ているとその背後に隠れている原因遺伝子が推測されることも稀ではない。さらに胎児期における胎児脳発達・変化を見ていくと胎児のもつ修復能力を垣間見ることもある。このような脳ドックで判明する事実から、長いカウンセリングを経てご両親とともに赤ちゃんのことを考えていくことになる。まさに胎児診断がゴールではなくスタートである所以である。

本講演では「高精度スクリーニングの中でも非常に信頼性が高く、胎児と真に向き合うための必要不可欠なエビデンスを提供する胎児画像診断というものがEvidence-basedな胎児診断の真髄」であること、また「胎児・ヒトのDiversity多様性を考えたNarrative-basedな胎児診断」というものがあること

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