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PCOS症例におけるIn Vitro Maturationの有用性

年次大会 一般演題

2018年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 山田 健市,菊地 裕幸,菅野 弘基,岸田 拓磨,岸田 理英,佐藤 那美,
馬場 由佳,結城 笑香,片桐 未希子,吉田 仁秋

Abstract

目的: 現在、In vitro maturation(IVM)は未だ発展途上であり、アメリカ生殖医学会では実験的な研究段階として位置づけられている。一方で、近年IVMの症例報告は増加しており、有用性が示唆されている。特に、PCOS患者においてはOHSSを回避できる可能性があり、IVMは身体的、精神的、時間的、経済的負担を軽減することができる。そこで本研究では、PCOS症例におけるIVM周期と通常Controlled ovarian stimulation(COS)周期の臨床成績を比較検討することを目的とした。

方法: 当院にて2014年1月から2018年6月の期間、PCOS症例でART適応となり、採卵を実施したIVM 61周期、通常COS 64周期を対象とした。それぞれの周期における、採卵数、成熟卵獲得率、正常受精率、Day3良好胚率、胚盤胞発生率、良好胚盤胞発生率、胚利用率について比較検討を行った。また、凍結融解胚移植を実施したIVM 35周期、通常COS 72周期の妊娠率、流産率についても比較検討を行った。

結果: IVM周期、通常COS周期における採卵数(mean±SD)は7.6±4.3個、8.8±5.7個、成熟卵獲得率は70.3%、77.4%、正常受精率は72.7%、83.3%、Day3良好胚率は38.0%、50.1%、胚盤胞発生率は30.1%、52.5%、良好胚盤胞発生率は9.8%、30.4%であり、成熟卵獲得率、正常受精率、Day3良好胚率、胚盤胞発生率、良好胚盤胞発生率において、IVM周期で有意に低下した。胚利用率は、24.2%、20.0%であり有意な差はみられなかった。凍結融解胚移植におけるIVM周期と通常COS周期の妊娠率は42.9%、44.4%、流産率は26.7%、28.1%と有意な差はみられなかった。

考察: PCOS症例におけるIVM周期は、通常COS周期と比較し採卵数は同等であった。しかしながら、その後の成熟卵獲得率、正常受精率、Day3良好胚率、胚盤胞発生率、良好胚盤胞発生率の胚培養成績は有意に低下した。一方で、凍結融解胚移植における、妊娠率、流産率の臨床成績には有意な差がみられなかった。このことから、今後、IVM培養液や培養方法を改善することで、妊孕性の高い成熟卵を多く得ることができれば、胚培養成績の向上、延いては胚移植後の妊娠率の上昇も期待できると考えられる。今後、IVM技術改良の研究と共にPCOS症例にとどまらず、IVM臨床応用の可能性を検討していきたい。

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