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Rapid-iを用いた少数精子の凍結法:TESE 36症例の追跡調査

年次大会 一般演題

2018年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 長尾 洋三,水本 茂利,渡辺 瞳,田中 啓子,奥田 紗矢香,仲宗根 巧真,村上 正夫,蔵本 武志

Abstract

【背景】
ARTでは、重度の男性不妊症に有効な少数精子の凍結法の関心が高いが、報告例が少なく、生児獲得も症例報告に限られる。当院は2011年に報告した新規法を臨床で継続使用しており、ここでは更新データを報告する。

【方法】
2011年11月〜2018年1月、閉塞性無精子症(14症例,A群)、非閉塞性無精子症(9症例,B群)または重度乏精子症(13症例,C群)患者のTESE後に回収した精子(A,647個(運動率93.0%);B,298個(運動率82.6%);C,283個(運動率86.6%)をRapid-iの容器(1-14個/本)に凍結保存した(5-81個/患者)(凍結剤:K-SISCまたはSperm Freeze)。融解精子をICSIに用い、受精卵を凍結保存した。2018年3月までに融解胚移植を行なった周期の周産期状況を含む臨床データを調べ、本法の有効性を検討した。

【成績】
回収率/融解精子、運動率/回収精子、2PN胚率/ICSIは、A群(40周期)がそれぞれ87.5%、65.3%、47.1%、B群(14周期)が89.6%、42.8%、29.3%、C群(16周期)が89.2%、65.7%、40.0%だった。凍結胚数(2PN、D2/3、D5/6)はA群がそれぞれ14、24、15個、B群が9、12、1個、C群が13、6、3個だった。臨床的妊娠率/ETと流産率/妊娠はA群がそれぞれ(23周期)47.8%と27.3%、B群が(13周期)30.8%と50.0%、C群が(10周期)60.0%と16.7%だった。継続妊娠/生児獲得の件数は8(A)、2(B)、5(C)名だった。A群の7名(双胎2名)(男児3名、女児6名、在胎週数38.3±0.8週、体重2704.0±159.9g)とC群の5名(双胎1名)(男児3名、女児3名、在胎週数38.4±1.0週、体重2796±214.5g)が生児を得た。生児のうち、A群の1名に福耳が見られた。

【結論】本簡易法は融解精子の回収率が高く、ICSI後に正常受精と良好胚を確認した。これまで生児も15名得ており、重度の男性不妊症に有用であると考えられた。これにより本法の長所として、精子回収の時間と労力の大幅な軽減、反復TESEの弊害、採卵当日に精子が見つからない等のリスク回避が大いに期待できることがあげられる。現在も症例数の蓄積と予後の追跡により有効性の検証を続けている。

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