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クロミフェン低刺激周期での診療の工夫 ~個々の症例に対してどう対応していくか~

加藤恵一

2019年度 年次大会-講演抄録 | Symposium2 「ART を受ける現代女性が抱える問題点とその解決策」①働く女性のための解決策 ②卵巣予備能低下(DOR)に対する解決策 

学会講師 : 加藤恵一

Abstract

クロミフェンクエン酸塩(CC)は, 内因性のホルモン分泌を抑制せず間接的に卵巣刺激を行う薬剤である.安価であり, 比較的緩徐に刺激することができるため, 低卵巣刺激法では第一選択薬となることが多い.多くの症例ではCC単独で排卵誘発を行うことになるが, 症例によっては, 少量のゴナドトロピン製剤(Gn)を併用する場合もある.プロトコールのポイントとして,月経3日目にホルモン測定や超音波検査を行い, 治療に適した周期であることを確認の上CC投薬を開始する.Gnを併用する場合には月経8日目にホルモン測定および卵胞計測を行い, 必要に応じて投与を行うが, その場合でも通常 75 ~ 150 単位を隔日投与するのみで十分である.次回以降の診察で十分な卵胞発育を確認した時点で採卵日を決定する.CC による LH サージ抑制効果のため通常は 2 日後に採卵することとなるが,LH サージの発来状況によっては翌日の採卵が必要となることがある.近年は胚盤胞全胚凍結が増えてきているため, 採卵後は翌周期まで来院は不要となるが, 適応に応じて, 子宮内膜厚や卵巣腫大などの状態を確認の上, 新鮮分割期胚移植も一定数行っている.胚移植後7日目または10日目に全例血清β-hCGの測定を行い,微量でもβ-hCG が検出された症例については, 子宮外妊娠の鑑別のため再検査を行っている.

プロトコールに挙げた来院指定日はどれも重要であるため省略しづらく, また患者それぞれの月経周
期も異なるため融通をきかせづらい面もある.今回のテーマの一つである“働く女性のための解決策”と
いう意味では, 診療時間の延長や土日祝日を含めた治療施設の体制を充実させることがまず重要であり, その上で来院不可能日の診察を省略した場合に起こりうるデメリットを医師および患者双方が理解して進めることが大事である.
次に“DOR”に対しては特効薬的な治療法は乏しいことが現実である.このような症例には低卵巣刺激法が選択されることが多いが, その点ではフレキシブルな対応が可能である.CC を使用するのか完全自 然周期で行うのか, またホルモン補充を行って FSH を抑制する必要があるのか, これらを組み合わせて 行うのかなど, 個々の症例や治療周期, その時々の 状況に応じて多様な選択肢が生まれうる.DOR につ いては画一的な対応は困難なため,症例提示の上,解 説させていただく予定である.

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