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凍結直前の収縮胚盤胞が臨床成績 へ与える影響

年次大会 一般演題

2019年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 村上 加奈1) ,北坂 浩也1) ,吉村 友邦1) ,福永 憲隆1, 2) , 浅田 義正1, 2)

Abstract

【目的】
胚盤胞凍結は胞胚腔の収縮・拡張を確認しながら行うが,凍結直前 に収縮していた胚盤胞は体積回復の見極めが難しく, 最適な平衡液浸 漬時間を超過している可能性がある.事実, マウスにおいては, 平衡 液浸漬時間が長くなるほど胚盤胞生存率は低下するとの報告もある (Valdez CA et. al, J Reprod Fertil, 1992).そこで,本研究では凍結 直前に収縮していた胚盤胞の凍結方法を改善させるために臨床妊娠率, 流産率を解析した.

【方法】
2013 年1月 ~ 2018 年12月に 培 養5日目 or 6日目 で 良 好 胚 盤 胞 (Gardner’s Scoreの≥3BB)の凍結を行い, 単一融解胚移植を施行し た6,046症例11,247周期を対象とした.凍結は推奨されるプロトコール に従い, 平衡液で一度収縮を確認し胚の体積が回復した時点(最大15 分)でガラス化液へ投入後,1分でガラス化を完了させる方法とした. 検討1:凍結直前に収縮していた胚盤胞(S 群), 非収縮胚盤胞(N 群)の2群に分け臨床成績を比較した. 検討2:S 群とN 群において融解後4時間の培養後に体積が回復した胚 盤胞の割合を算出し,体積が回復および収縮していた胚盤胞における 臨床妊娠率,流産率の比較を行った.

【結果】
検 討 1:S 群 の 妊 娠 率 は 36.3%(53/146)に 対 し N 群 で は 45.8% (5055/11034)と有意に高かった(p<0.05).流産率は 35.8%(19/53)に 対し21.9%(1106/5055)となり,N 群は有意に低かった(p<0.05). 検討2:融解後の体積回復胚盤胞の割合は S 群79.5%(116/146),N 群91.9%(10142/11034)となりS 群で有意に低かった(p<0.05).体積回 復胚盤 胞の妊娠率は S 群44.0%(51/116),N 群47.8%(4848/10142), 流産率は S 群35.3%(18/51),N 群21.8%(1057/4848)と差はなかった. 体積非回復胚盤胞の妊娠率は S 群6.7%(2/30),N 群23.2%(207/892) となりS 群で有意に低く(p<0.05), 流産率は S 群50.0%(1/2),N 群23.7%(49/207)と差はなかった.

【考察】
両群共に,融解後の体積非回復胚盤胞の妊娠率は低値であり,S 群 においては融解後の体積回復の割合は有意に低く, 流産率が高かった ことから, 平衡液浸漬時間が最適ではなく耐凍剤による負の影響が あったと考えられる.今後は,全症例タイムラプス運用を活用し胚盤胞 の体積が回復してから凍結を開始できる臨床業務体制の構築, または 非収縮胚盤胞(N 群)の平均的な平衡液浸漬時間を基準とした凍結方 法を検討していきたい.

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