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反復 ART 症例における抗酸化 物質添加培養液の有効性につい ての比較検討

年次大会 一般演題

2019年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 笹峯 梢,伊木 朱有美,久保 敏子,野手 健造, 長谷川 麻理,坂井 和貴,佐々木 容子,須賀 真美,鵜久森 夏世,兵頭 慎治,鍋田 基生

Abstract

【目的】
近年, 酸化ストレスによる胚のフラグメンテーションの増加・分割遅延など, 胚発生への悪影響が指摘されている.その対策の1つとして, 抗酸化物質を添加した培養液を使用することにより, マウスの胚発生改善が報告されているが, ヒト胚での培養に関する報告は少ない.そ こで当院では, 1回目の採卵で妊娠に至らなかった症例に対して, 採 卵2回目以降の培養方法の選択肢の1つとして, 抗酸化物質添加培養 液が有効かどうか比較検討を行った.

【対象・方法】
2015年10月から2019年6月まで当院にて採卵を行った症例のうち,2 回以上採卵を行った123症例321周期を対象とした.  採卵1回目の培養では抗酸化物質非添加のシングルステップメディウム (A 群:123周期), 採卵2回目以降は抗酸化物質添加のシングルステップメディウム(B 群:198周期)をそれぞれ用いて,split法または ICSIの みを行い,Day7 まで胚培養を行った.2群間における,2PN 率, 胚 盤胞到達率,良好胚盤胞到達率について培養成績の比較検討を行った.

【結果】
各群における採卵時の平均年齢は,A 群および B 群で各々 38.6±4.0 歳,40.0±4.0歳であった.split 症例におけるcIVF 実施卵あたりの 2PN率は,A 群および B 群で各々 42.9%,46.6%,胚盤胞到達率は各々49.1%,56.6%, 良好胚盤胞到達率は各々 28.3%,48.3%で, いずれ もB 群が高い傾向が示され, 良好胚盤胞到達率においては有意に高 かった(P<0.05).split症例におけるICSI実施卵あたりの2PN 率は, A 群および B 群で各々 77.2%,75.7%, 胚盤胞到達率は各々 47.6%,69.9%, 良好胚盤胞到達率は各々 28.6%,44.3%であり, 胚盤胞到達 率および良好胚盤胞到達率において有意差はないものの,B 群が高い 傾向であった.ICSIのみの症例においての2PN 率は,A 群および B 群で各々 67.3%,68.5%, 胚盤胞到達率は各々 52.5%,34.4%, 良好 胚盤胞到達率は各々 29.0%,40.6%であり,良好胚盤胞到達率におい て有意差はないもののB 群が高い傾向であった.

【考察】
採卵時の培養における抗酸化物質添加培養液の使用は, 非添加培 養液よりも良好胚盤胞になりやすい傾向が示された.このことから抗 酸化物質添加培養液を用いることで周期あたりの良好胚盤胞をより多 く獲得でき, 良好胚を移植できる可能性が高まるのではないかと考え られた.

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