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患者は必ずしも治療継続のために 凍結胚を保管している訳ではない

年次大会 一般演題

2019年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 末永 めぐみ,篠原 真理子,山口 弓穂,上拾石 富士代, 岩下 夢美,永光 理紗,伊藤 正信,松田 和洋

Abstract

【目的】
これまで医療者側は患者が将来の産子希望のために凍結胚の保管 期限を更新していると考えてきた.しかし, 凍結胚の保管を数年継続 してきたにもかかわらず, 胚移植を行うこと無く, 治療終結を迎える症 例が往々にある.そこで, 継続保管の更新理由と患者背景の関係を明 らかにすることで, 凍結胚を保管中の患者支援のあり方への再考の一 助とすることを目的としてアンケート調査を実施した.

【方法】
2018年6月から2019年5月の期間に凍結胚の期限更新手続きのために 妻が来院した194症例を対象に無記名式アンケートを実施し,回収ボッ クスにて回収した(回収率96.9%).アンケート内容は患者自身の現在 の状況(年齢・保管胚数・養育中の子供数・更新回数),今回の更新理 由(治療の継続または再開を考えている・継続か破棄の決断ができな かった・妊娠中のため出産まで保管したい・その他の4択式), 自由記 述欄の構成とした.

【結果】
患者の凍結時年齢は平均34.5±3.8歳(25-43), 保管胚数は平均3.7 ±3.4個(1-25), 養育中の子供数は平均1.2±0.6人(0-3), 更新回数は 平均1.9±0.9回(1-4),更新時年齢は平均36.4±3.8歳(26-44)であった. 更新理由の内訳としては継続・再開73%,決断できず 23%,妊娠中2%, その他2%であった.次に, 今後の治療を継続・再開希望群と決断で きないまま保管継続とした群において患者背景の比較を行った.凍結 時年齢は有意差を認めないものの, 継続再開群と比較して決断できな い群で35歳以上の割合が増加傾向であった.保管個数は 2群間に違い を認めなかった.養育中の子供数は 2人以上になると決断できない群 が有意に増加した.更新回数は4回目で決断できない群が有意に増加 した.更新時年齢は 30-34歳では継続・再開群が有意に多く, 年齢の 上昇ととともに決断できない群が増加傾向であった.また自由記述の項 目では「色々な思いを乗り越えてきたので破棄できない」「自分の精神的 な面からなかなか再開できない」「気持ちの整理をしたい」などの意見が 見られた.

【結論】
治療再開や継続に迷いをもちつつ,凍結胚の保管継続を更新してい る患者が一定数いることが明らかとなった.迷いを持つ傾向のある患 者は更新時に年齢・子供数・更新回数を重ねた症例であり, 前子の出 産などにより通院から遠のいていることが考えられる.そのため治療期 間外であっても今後の方針に関して相談できるサポート体制を周知する ことが患者自身の自己決定を促すと思われる.

 

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