論文詳細ページ

私が考える ART 医療

吉田 淳

2020年度 年次大会-講演抄録 | 今後の日本の ART 医療の方向性

学会講師 : 吉田 淳

Abstract

私は,今回の日本IVF学会開催地である広島市の瀬戸内海を挟んで対岸の愛媛県松山市の出身で,父親の源流を辿ると,村上水軍の末裔で,小さい頃は,瀬戸内の海や島々を眺めるのが大好きでした.

女性・男性不妊症の両方を一人の医師が診察・治療できる施設として,1999年に都市型のビル診察の木場公園クリニックを東京都江東区で開業して,約22年が経過しました.

ARTは生き物だとよく言われますが,ARTに関する技術は日進月歩で進化を続けています.

開業当時は2日目や3日目の初期胚移植が主流でしたが,培養液が進化し胚盤胞到達率が高くなったため,5日目や6日目の胚盤胞まで培養することが多くなりました.

また,胚凍結の方法もプログラムフリーザーを使用した緩慢凍結法を行なっていましたが,現在は超急速ガラス化法が主流となりました.

胚はインキュベーター(培養器)で培養され,胚を観察するときは培養器から外に出して顕微鏡で観察していましたが,現在ではカメラ付きの培養器(タイムラプスシステム)が開発され,器械が10分毎に胚を自動で観察するため,胚を培養器から外に出さなくてよくなりました.

このように医療技術は進化しましたが,不妊症の患者さんが受けているストレスは以前と変わっていません.

昨年12月に郊外型の不妊治療専門施設として,茨城県つくば市につくば木場公園クリニックを二か所目のクリニックとしてオープンしました.

メインコンセプトは,ART RESORT®構想です.建物や木などのランドスケープ全体で,高いストレスを受けている不妊症の患者様が来院された時にほっとできるような,リゾートに来ているような癒しの空間作りを心がけました.

私の頭の中のトータルイメージは,外はサンフランシスコ近郊にあるワインで有名なナパバレー,中はシリコンバレーです.

建物はワイナリーの中にあるイメージで,一人目不妊治療側の階段とテラスは,国際空港の駐機場が見えるラウンジのイメージです.

一人目不妊治療と二人目不妊治療の入り口を建物のみでなく,駐車場の入り口からセパレートしました.

また,セキュリティ度を高めるために,駐車場と建物の入口は患者様のスマホに表示した開錠用QRコードを使用した電子Keyを採用しました.

患者様に安心して体外受精や顕微授精の治療を受けていただくために,患者様がガラスを通して培養室内が見える,オープンな培養室を作りました.

日本で,ARTを受けている患者様の約半数は40歳代です.卵子や精子は,患者さん自身の体から作られているため,いい体づくりは必修です.

レーザー療法,鍼灸治療,整体など多方面から患者様にアプローチをする必要があります.また,食事,睡眠,運動などの生活習慣の見直しも大切です.

すべての患者様に妊娠していただき,子供を家に連れて帰って欲しいと考えて医療を行っていますが,すべての患者様が妊娠できないのが現実です.

妊娠が出来ずに不妊治療を卒業する時に,患者様が納得できる不妊治療を受けることが出来てよかったと感じられる生殖医療を我々は提供し続けなければならないと思います.

ページ先頭