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運動精子選別装置「ミグリス」と従来法における精子調整法の比較

年次大会 一般演題

2019年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 鈴木 理恵,岸 加奈子,山上 一樹,古橋 孝祐,江夏 徳寿, 岩﨑 利郎,松本 由紀子,苔口 昭次,塩谷 雅英

Abstract

【目的】
ARTにおける精子調整方法には, 密度勾配遠心分離法, 洗浄濃縮法及び swim up 法などが用いられている.一方で, これらを伴う調整方法では遠心分離を行うため精子に対して物理的ダメージを与えることやDNA fragmentationの増加が懸念されている.

そこで本検討では,Migration-Gravity Sedimentation Method(以 下:MS)原理を利用した遠心分離を行わない運動良好精子を選別する 装置「ミグリス」(株式会社メニコン)に着目した.これは, 外筒と内管 の2重構造を有しており, 精液の上に調整液を充填することにより運動 精子のみが調整液に移動することを利用し, 内側の管の底に運動精子 を集めることができる装置である.このミグリス(以下:MS 法)で調整 した精子, 密度勾配遠心分離法(以下:従来法)で調整した精子におい て, 各調整方法の精子濃度, 精子運動率及び DNA fragmentation index(以下:DFI)を比較検討したので報告する.

【方法】
液量1.6ml 以上,運動精子濃度1000万/ml 以上の廃棄精液30検体を対象とした.精子調整に使用した培養液は,Universal IVF Medium (以下:UIM,Origio Denmark)を用いた.まず,検体を1.6ml 採取し, 2倍希釈後, 液量を3.2mlに統一した.そのうち0.2mlを原精液群とし, 残り3.0mlを従来法とMS 法に,それぞれ半量に分けて調整を行った. 従来法では,Percoll(Sigma Aldrich Japan)を用いて2層(90%, 45%)密度勾配遠心分離法を施行し,上清除去後UIMを用いて調整液を回収した.更に10検体の原精液を従来法とMS法に分け, 精子DFI の評価を行った.精子DFIの評価には,HalospermRG2(Halotech DNA)を使用した.染色後,光学顕微鏡にて300個の精子を観察し DFIを測定した.

【結果】
調整後の平均運動精子濃度は, 従来法1,050万/ml,MS 法510万/ mlとなり,MS 法は従来法よりも有意に低かった.しかしながら, 調 整後の平均精子運動率は従来法79.5%,MS 法89.7%とMS 法におい て有意に高かった.また DFIは,原精液23.6%に対し, 従来法10.8%, MS 法1.8%となり, 両群とも原精液より有意に低率となった.また MS 法は従来法と比較し,DFIが低い傾向にあった.

【結論】
平均運動精子濃度は, 従来法の方が高いが平均精子運動率は MS 法の方が高かった.また,DFIは,MS 法のみならず, 従来法でも原精液より有意に低率となった.一方で MS 法は, 従来法と比較し低率 な傾向となった.以上のことから, 遠心分離を行わないMS 法は, 従来法より運動精子を選別し, 精子へのダメージが少ない調整法である ことが示された.

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