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0-19 精液の酸化還元電位とストレス因子との関係性

年次大会 一般演題

2020年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 金子 眞弓1) ,冨田 和尚1) ,井﨑 顕太1) ,幸池 明希子1) , 佐藤 学1, 2) ,森本 義晴1)

Abstract

【目的】

男性不妊症の原因の1つに精液中の酸化ストレスがある.精液中の酸化ストレスは精子細胞膜やDNA 断片化の要因として知られており, 男性側の妊孕力を間接的に反映する.酸化ストレスを測定する際は酸化力と抗酸化力を同時に評価する必要がある.MiOXSYSⓇ (AYTU Bioscience 社 , USA)により原精液中の酸化力と抗酸化力の総和を標準酸化還元電位(static oxidative reduction potential : sORP)として測定することができる.これまでに sORPと原精液所見の相関性についての報告は多くされているが, 血中酸化ストレス度や喫煙量などと の関係性は明らかになっていない.本研究は sORPとこれらストレス因子との関係性を調べることを目的とした.

【方法】

2018年5月から2019年5月に当院で精液検査を行い,sORPを測定した483症例を対象とした.sORPの測定は MiOXSYS Ⓡ の使用手順に従い行った.夫の平均年齢は 38.0歳, 禁欲期間3.9日, 総精子濃度 72.7×10 6 sperm/mL, 運動率56.2%,Sperm motility index(SMI)174.1であった.sORP値と夫の年齢, 原精液所見, 血中酸化ストレス (d-ROM,BAP),血中LH,FSH,テストステロンの値,及び喫煙と の関係を示すブリンクマン指数との関係を単回帰分析を用いて調べた.

【結果】

平均 sORP 値は 8.8±129.2 mV/10 6 sperm/mLであった.sORP 値と夫の年齢(r:0.179),禁欲期間(r:0.146),LH(r:0.2),FSH(r:0.156)との間に有意な正の相関が,SMI(r:0.184)との間には負の相関が認 められた.一方,総精子濃度(r:0.077),運動率(r:0.072),精液量(r: 0.089),WBC(r:0.004),採精してから検査までの経過時間(r:0.014), d-ROM(r:0.012),BAP(r:0.017),テストステロン(r:0.022),ブリ ンクマン指数(r:0.046)との間に相関は認められなかった.

【考察】

sORPが低いほど, 精子は酸化されておらず正常な状態である.加えてSMIとsORPが負の相関を示したことから,ORP値を改善することによって精子運動性を改善できる可能性が示唆された.sORPと血中酸化ストレスとの間に関係性がみられなかったので, 血中酸化ストレ スよりむしろ精液中の酸化ストレスの程度を直接測定する必要があると考えられた.また,ブリンクマン指数とsORPとの間に関係性はみられ なかった.ブリンクマン指数より喫煙量との関係性が強い尿中コチニン との関係性をみる必要が考えられた.

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