Papers and Abstracts

論文・講演抄録

0-25 ニュートリションサポートセンターにおける栄養指導の不妊治療への効果

学術集会 一般演題(口頭発表)

2020年度 学術集会 一般演題(口頭発表)

発表者:植田 歩唯・土井 麻莉子・山本 健児・藤井 美喜・苔口 昭次・塩谷 雅英

英ウィメンズクリニック

Abstract

【目的】

当院では妊娠するための健康的な体づくりをサポートするために 2015年8月よりニュートリションサポートセンター(以下 NSC)を開設し, 管理栄養士による栄養指導(以下 NS)を行っている.中でもNSCで指導を行うケースの67%は体重管理が目的となっている. そこで BMI25以上の肥満傾向の方へのNSを通じて, 妊娠しやすい 体づくりのサポートを行った結果,不妊治療の成績にどのような効果が あったかを検証したので報告する.

【方法】

NSCでは, 患者が作成した食事記録をもとに栄養価計算を行い,食事の傾向や問題点を把握し,適切な栄養摂取となるようNSを行って いる.2015年8月~ 2019年12月までにNSを行った BMI25以上の患者 124例のうちNS の前後で BMIの測定が行われていた43例についてBMIの改善, 不妊治療の種類および妊娠の有無について後方視的に 調べた.

【結果】

対象患者43例の平均年齢は 35.6歳,NS 開始時のBMIの平均値は 30.8であった.NS 後に BMI が減少したのは 35例(81.3%)で, その BMI平均値は 27.9であった.そのうち5例がBMI25未満まで改善した. NS 後 BMI<25となるまでに要した期間は平均139.6日であった.また, 対象患者43例の不妊治療の内容と妊娠の有無について調べた結果, NS 後に妊娠した症例は, タイミング14例中6例(42.8%),AIH4例中2 例(50%),ART25例中16例(64.0%)であった.BMIが25未満まで改 善した 5例で妊娠したのは 3例(60.0%)(タイミング 1例 AIH1例  ART1例)であった.一方でBMIの改善が見られなかった8例で妊娠し たのは4例(50.0%)(タイミング1例 ART3例)であった.

【考察】

NSの前後で 81.3%の症例で BMIの改善が見られたこと, 目標であ るBMI<25まで改善できた症例の60.0%が妊娠に至ったことは,NSに 一定の効果があったと考える.一方で BMI<25を達成できた症例の割 合が 43例中5例(11.6%)と少なかったのは, 定期的に継続して NSCで フォローできた症例が少なかったことが一因と考えられる.また, 診察時に体重を測定する機会が少なく, 評価対象となった症例が少なかっ たことが課題としてあげられる.今後はできる限り定期的にNSを受け るよう指導し, 体重測定を毎回行うなど BMIの目標到達度を患者とともに確認しながらサポートを行っていきたい.

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