Papers and Abstracts

論文・講演抄録

Day4胚盤胞は第一選択か? ~融解胚移植における胚盤胞の選択順位~

学術集会 一般演題(口頭発表)

2019年度 学術集会 一般演題(口頭発表)

発表者:安田 忠頼・坂本 朱華利・杉浦 百香・丸岡 沙織・古川 美穂・白井 美希・清水 雅司・村田 朋子・村田 泰隆

ART クリニックみらい

Abstract

【目的】
当院ではこれまで従来型インキュベーターで胚盤胞形成を確認し,5 ~ 6日目以降に凍結保存を行ってきた.2018年1月より,タイムラプスイ ンキュベーターを導入してからDay4で完全胚盤胞に至った胚盤胞を凍結するようになった.Day4胚盤胞は高い妊娠成績が得られると報告もあり,Gardner 分類3BB 以上の良好胚盤胞は優先的に移植胚として選択した.今回,良好胚盤胞におけるDay4及び Day5胚盤胞の移植成績について後方視的に比較,移植胚の選択順位を検討した.

【方法】
2018年1月~ 2019年3月に,Day4及び Day5で凍結したGardner 分類3BB以上の良好胚盤胞を単一融解胚移植した1,202周期を対象とした.

検討①では, 対象を凍結日数とICMの評価で,4ICM-A 群(161周 期),4ICM-B 群(45周期),5ICM-A 群(765周期),5ICM-B 群(231 周期)に分類した.

検 討 ② では, 凍 結日数とTE の 評 価 で,4TE-A 群(114周 期 ),4TE-B 群(92周期),5TE-A 群(583周期),5TE-B 群(413周期)に分 類し,臨床妊娠率,継続妊娠率を比較した.

【結果】
検 討 ① で は, 臨 床 妊 娠 率 は,4ICM-A 群52.8 %,4ICM-B 群51.1%,5ICM-A 群49.3%,5ICM-B 群43.3%だった.継続妊娠率は, 4ICM-A 群36.0%,4ICM-B 群37.8%,5ICM-A 群37.4%,5ICM-B 群29.4%で5ICM-A 群と5ICM-B 群間(P<0.05)に有意差が見られた.

検討②では, 臨床妊娠率は,4TE-A 群59.6%,4TE-B 群43.5%, 5TE-A 群52.7%,5TE-B群40.0%で4TE-A 群と4TE-B群間(P<0.05), 4TE-A 群と5TE-B群間(P<0.01),5TE-A 群と5TE-B群間(P<0.01) に有意差が見られた.継続妊娠率は,4TE-A 群40.4%,4TE-B 群27.2%,5TE-A 群40.3%,5TE-B 群28.6%で4TE-A 群と5TE-B 群 間(P<0.05),4TE-A 群と4TE-B 群間(P<0.05),4TE-B 群と5TE-A 群間(P<0.05),5TE-A 群と5TE-B 群間(P<0.01)にそれぞれ有意差が 見られた.

【考察】
ICMの評価においてday4とday5の凍結日数の違いで, 臨床妊娠率, 妊娠継続率に差はなかった.しかし,TEの評価では, 凍結日数に関 わらず TEがBよりもAの方で継続妊娠率が有意に高かった.Day4及 び Day5の良好胚盤胞では, 凍結日数に関係なくTE 評価がAの胚盤 胞から移植することで, 挙児獲得までの期間を短縮できる可能性があ る.また,Day4で TE 評価が B 以下の場合,Day5まで延長培養し, TE 評価を向上させることで, 移植成績が改善するか, 今後検討していきたい.

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