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ICSI時の紡錘体観察は培養成績を向上させるのか

年次大会 一般演題

2019年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 井頭 千明,古橋 孝祐,岩﨑 利郎,松本 由紀子, 苔口 昭次,塩谷 雅英

Abstract

【目的】
卵子の第一減数分裂において, 第一極体は anaphaseⅠに放出がは じまりtelophaseⅠに至って完全に放出される.しかし, この時点では まだ MⅡスピンドルの形成はなく,prophaseⅡを経て初めて MⅡ卵と なる.一般的にICSIは,第一極体の放出を確認できた卵をMⅡ期とし て実施するが, 第一極体の観察だけでは,anaphaseⅠ~ prophaseⅡ の卵をMⅡ卵と鑑別することは容易ではない.従って,ICSIに先立って MⅡスピンドルの有無を観察し, 観察できない卵は数時間の培養を行いMⅡスピンドルの出現を待ってからICSIを行うことで成績の向上 を期待できるとの考えがある.そこで今回我々は ICSI 時の紡錘体観察の有用性について検討したので報告する.

【方法】

検討期間:2018年8月~ 2019年5月.検討対象:初回 ICSIを施行した169周期914個の卵.650個に紡錘体観察を実施したところ(観察群), 600個にMⅡスピンドルを認め(MⅡ群),50個には MⅡスピンドルを 認めなかった(非 MⅡ群).264個は紡錘体観察を実施せず従来通り ICSIを実施した(非観察群).非 MⅡ群のうち35個は 2時間の追加培 養後にICSIを行い(培養群),15個に対しては,培養を行わず ICSIを行った(非培養群).培養群は 2時間の追加培養後に,MⅡスピンドル の有無にかかわらず ICSIを実施した.紡錘体の観察は位相差顕微鏡 Nikon ECLIPSE Ti2-Uを用い,maturation triggerから38 ~ 41時 間後に実施した.

【結果】
観察群,MⅡ群,非MⅡ群,培養群,非培養群,非観察群の成績は, そ れ ぞ れ 正 常 受 精 率:74.3%,74.5%,72.0%,62.9%,93.3%,79.9%,D5胚 盤 胞発生率:56.2%,57.5%,41.4%,42.1%,40.0%,
51.0%であった.観察群と非観察群の比較では, 両群に有意な差は認 めなかった.さらに, 培養群と非培養群の比較でも,有意な差は認め なかった.

【考察】
ICSI 時の紡錘体観察の有用性に関して否定的な結果を得た.その理由の第一は, 紡錘体可視化率が 92%と高かったこと, 第二として, MⅡスピンドルの形成を認めない卵でも遜色の無い受精率および胚盤 胞 発 生 率 が 得られたことをあげることができる.anaphaseⅠ~ prophaseⅡの卵は MⅡスピンドルの出現を待ってからICSIをするべき という考えには再検討の余地がある.

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