Papers and Abstracts

論文・講演抄録

O-2 KID SCORE™️D5は6日目胚盤胞の妊娠率も予測する

学術集会 一般演題(口頭発表)

2020年度 学術集会 一般演題(口頭発表)

発表者:塩谷 仁之1,2) ・小林 達也2,3) ・杉浦 朝治1) ・明石 佐奈子1) ・岡部 美紀1) ・中野 俊1) ・山内 久美子1) ・小島 勝志1) ・藤田 真紀1) ・高橋 敬一1)

1)高橋ウイメンズクリニック 2)千葉大学大学院医学研究院生殖医学 3)千葉大学医学部附属病院婦人科

Abstract

【緒言】

KID SCORE™️D5(KIDS D5)は,胚盤胞の形態学的評価に加え人工知能による解析補助を行うことで, 妊娠胚の予測が可能であり, 効果を予測するarea under the curve( AUC)の値は 0.6と報告されてい る(Reignier et al., 2019).しかし,KIDS D5の開発は, 培養5日目 胚盤胞を基にしているため,培養6日目胚盤胞の妊娠予測に適しているか不明である.今回, 培養6日目胚盤胞においてもKIDS D5による胚選択が有効であるという知見を得たため報告する.

【方法】

2019年1月~ 12月に高橋ウイメンズクリニックにて ICSIを施行した 146症例234個の移植済み胚盤胞を後方視的に解析した.体外培養,タイムラプス観察には Embryo Scope+™️(Vitrolife)を用いた.胚盤胞 はすべてクライオトップ法(Kitazato)を用いたガラス化凍結にて凍結した.KIDS D5(ver.3)は Embryoviewer™️(Vitrolife)により算出し,各胚盤胞に最小値1 ~ 最大値9.9 のスコアをつけた.臨床妊娠は超音波検査による, 胎嚢確認により評価した.KIDS D5によるROC曲線をAUCで評価し, 臨床妊娠に対するcut off 値を求めた.統計解析は JMP Pro 15.00(SAS)にて行った.

【結果】

培養5日目(D5)と培養6日目(D6)の胚盤胞のKIDS D5平均値はそれ ぞれ 7.06±1.7(n=162),3.7±1.47(n=72)であり,D6胚盤胞のKIDSD5は D5胚盤胞と比較して有意に低下した(p<0.0001, willcoxon test). ROC 解析の結果,KIDS D5の臨床妊娠に対するAUCは D5胚盤胞 で 0.62(cut off値は 5.6),D6胚盤胞で 0.72(cut off値は4.9)であった. D5胚盤胞における臨床妊娠率は cut off 値(5.6)以上の胚で 60.9% (78/128),cut off値未満の胚で35.3%(12/34)であった.また,D6胚盤胞における臨床妊娠率は cut off 値(4.9)以上の胚で47.4%(9/19), cut off 値未満の胚で7.55%(4/53)であり,D5, D6の両方でcut off 値 以上の胚盤胞の妊娠率が有意に高値であった(p=0.0075, 0.0001).ま た,採卵時年齢を考慮した多変量解析の結果においても,KIDS D5 は D5胚盤胞,D6胚盤胞ともに臨床妊娠率に影響を与えた(p=0.0239, 0.0127).

【結論】

KIDS D5はD5胚盤胞の妊娠予測に寄与し, さらにD6胚盤胞への 応用も可能であることが示唆された.KIDS D5を導入することで, 移 植成績の向上, 効率的な着床前診断候補胚の選択に寄与することが 期待される.

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