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O-3 フラグメンテーション含有率が高い分割期胚への広範囲な透明帯開口術の試み

年次大会 一般演題

2020年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 岸田 理英,菊地 裕幸,山田 健市,岸田 拓磨,菅野 弘基,眞山 那美,結城 笑香,吉津 葵,佐々木 郁弥,吉田 仁秋

Abstract

【目的】

胚のフラグメンテーション(frag)発生は, 培養環境や染色体異常など様々な要因が関与していることが知られている.fragは正常割球に 悪影響を及ぼし,胚発育を阻害していることが報告されており,frag 含有率の高い胚では妊娠率が低下する.一方で,frag 含有率の高い分 割期胚から, 細いピペットを利用し,fragを吸引除去して培養, 移植 を行うことで胚盤胞発生率の向上や, 妊娠率の上昇が報告されている. しかし,frag 除去は高度な技術が必要となる.そこで, レーザーシス テムを使用し, 透明帯を広範囲に開口することで fragが排出され, 同 様の効果が得られないかを検証した.

【方法】

患者から同意が得られた培養3日目凍結廃棄胚を用いた.対象は 4cell 以上かつ fragを10% 以上有する62個の胚とした.融解後に透明帯の約半分にレーザーを照射, 開口した群を開口群, コントロール群を非開口群とした.両群ともに,frag 含有率が 10-29%が15個,30-49%が15個,50% 以上が1個とし,4 ~ 10cellまでの胚を発育状態に差が出ないように配分した.培養はタイムラプスインキュベーター(TL) を用い,frag の動向や胚の発育過程を観察した.培養開始から72時 間目に胚盤 胞発生率,Gardner 分類で 3BB 以上の良好胚盤 胞率, Hatching率を比較検討した.

【結果】

TL 観察において, 開口群の正常発育細胞が開口部から透明帯外へ 脱出しながら発育していく様子を確認できた.fragは透明帯内に残存 するもの,外に排出されるもの,正常割球に付着したままのものなど様々 であった. 胚 盤 胞発生率は非開口群で 38.7%(12/31), 開口群で 32.3%(10/31)となり,有意差は認められなかった.良好胚盤胞率は非開口群で16.7%(2/12),開口群で70.0%(7/10)となり,開口群で有意 に高くなった(p<0.05).Hatching 率は非開口群で 0.0 %, 開口群で 100 %となり,開口群で有意に高くなった(p<0.01).

【考察】

frag 含有率の高い胚において,培養3日目に広範囲で透明帯を開口す るという簡便な方法で,70.0%の良好胚盤胞率を得ることができた.培養3日目以降,開口群と非開口群での胚盤胞発生率は変わらず,D3以降の胚発育に透明帯の欠損は影響しないと考えられる.今回, 開口群に おいて良好胚盤胞発生率が高くなった.発育細胞が開口部から透明帯外へ移動していく様子が観察されたことから,fragの存在が胚発育を阻 害している可能性とともに,胚の発育環境が物理的に広がったことが良 好胚の作出に寄与している可能性も考えられた.さらに, 非開口群で Hatchingしてきた胚が一つもなかったことから,fragがHatchingを阻 害していることが示唆された.

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