Papers and Abstracts

論文・講演抄録

O-4 タイムラプス観察による胚盤胞期胚の収縮と臨床成績について

学術集会 一般演題(口頭発表)

2020年度 学術集会 一般演題(口頭発表)

発表者:杉浦 朝治1) ・小林 達也1,2) ・明石 佐奈子1) ・岡部 美紀1) ・中野 俊1) ・塩谷 仁之1,2) ・小島 勝志1) ・山内 久美子1) ・藤田 真紀1) ・高橋 敬一1)

1)高橋ウイメンズクリニック 2)千葉大学大学院医学研究院生殖医学講座

Abstract

【緒言】

タイムラプス観察(以後 ES 観察)を行うと,ヒト胚盤胞では胚の収縮が頻回に観察される.収縮胚では非収縮胚と比較して正倍数性胚が少 なく, 妊娠能が低下するとされている.本研究では当院の収縮胚率や 妊娠能を検討するために, 良好胚と不良胚での収縮胚率と収縮胚の収 縮様式を解析した.さらに単一胚盤胞胚移植における妊娠転機との関連を検討した.

【方法】

ES 観察は 2019年1月~ 12月に高橋ウイメンズクリニック(千葉市)に てICSIを施行した734個を対象とした.単一凍結融胚移植の臨床妊娠 の検討は 96症例128周期を対象とした.胚盤胞収縮の観察は Embryo Scope+ TM (Vitrolife)によるES 観察で行い,Embryoviewer TM により 胚盤胞面積を測定し収縮率(収縮後面積 /収縮前面積)を算出した.対 象として実体顕微鏡観察(定点観察)は IVFまたは ICSIを施行した 2418個を対象とした.

【検討1】定点観察とES 観察での胚盤胞期胚の,収縮胚率とES 観察での収縮様式について比較検討した.収縮様式は収縮率20-50%を contraction(収縮),50.1%以上をcollapse( 虚脱)とした.

【検討2】ES 観察でのGardner 分類による形態評価および形態動的評価をKIDSCORE TM D5(以後KID)(Ver.3)によりスコア化し,良好胚 と不良胚の収縮胚率と収縮様式との関連を検討した.

【検討3】良好胚盤胞(BB 以上)による単一凍結融胚移植を行った,39 歳以下,96症例128周期における胚収縮と妊娠転機について検討した.

【検討4】Gardner 分類 AAに絞って,収縮の影響を 94周期の妊娠転機 について検討した.

【結果】

①胚収縮の頻度は定点観察群8.3%,ES 観察群41%であり,ES 観察 により胚収縮の検出率が有意に上昇した(p<0.001).

②良好胚と不良胚の収縮胚率は 33%,60%で, 不良胚では収縮胚の 割合が高かった(p<0.001).収縮胚のKID は 4.9, 非収縮胚で 6.7 であり,収縮胚のKIDは有意に低値であった(p<0.001).

③臨床妊娠率は, 収縮群44%, 非収縮群69%で, 収縮群で有意に低 下した(p<0.01).流産率は収縮群25%, 非収縮群10%で差が認め なかった(p=0.09).

④AA 胚に絞った臨床妊娠率は収縮群45%, 非収縮群69%で, 収縮 群で有意に臨床妊娠率が低下した(p<0.05).流産率は収縮群33%, 非収縮群8%で,収縮群で有意に高かった(p<0.05).

【結論】

ES 観察を行うことで収縮胚の検出感度が上昇した.また, 胚盤胞 形態,KIDは胚収縮と関連する結果であった.また胚収縮は妊娠率, 流産率に影響を与えており, 移植胚の選別の際は胚収縮も考慮するこ とで妊娠率を向上させることが示唆された.

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