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O-7 タイムラプスを用いた受精操作直後の細胞質収縮による受精予測の試み

年次大会 一般演題

2020年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 山口 桂子,糸井 史陽,藤田 京子,関 友望,藤井 詩子, 池田 沙矢子,佐野 美保

Abstract

【目的】

顕微授精当日にレスキュー活性化処理(ROA)をすることで翌日ROAを実施するよりも, 受精率が向上するとの報告がある.受精操作当日に第二極体放出の有無を観察し受精予測を行い,ROAを実施することがあるが,第二極体の放出が確認出来ない場合,受精予測に時間を要することがある.

これまでに, 顕微授精において精子注入後から細胞質が収縮することが報告されており,早期にROAを実施するための受精予測の基準の一つとして,この現象を応用できないか後方視的に検討した.

【方法】

2018年7月から2020年4月に当院において採卵し,顕微授精を実施した成熟卵のうち受精操作後0.5時間以内にタイムラプスにて観察を開始した67症例97周期を対象とした.受精確認にて, 第二極体を放出せず不受精であった卵を 0PN 群(25個), 正常受精卵を 2PN 群(126個)とし, 観察を開始した時点を基準として細胞質面積および平均直径の収縮率を比較検討した.タイムラプスの観察は 20分間隔に設定しており,受精操作後0.6時間から0.4時間おきに 3.3時間までを7区画に区切り比較検討した.

また,2PN 群のうち, 第一極体が細胞質の円周上に位置するか否かでの比較や, 第二極体放出時間の違いにより収縮率に差がみられるかを検討した.

【結果】

2PN 群における第二極体放出の平均時間は 2.8時間であった.受精操作後0.6時間から3.3時間までの細胞質面積の収縮率は,0PN 群で99.8,99.0,98.8,98.3,98.1,98.1,98.0( %),2PN 群で 98.8,97.8,96.8,95.7,94.8,94.0,93.3( %)であり, すべての時間において有意差がみられた.2PN 群では,時間経過とともに有意に細胞質面積の収縮がみられた.各区間におけるROC曲線を求めた結果,3.0-3.3時 間 においてカットオフ値:97.1 %, 感 度:0.880, 特 異 度:0.952,AUC:0.94となった.  また, 第一極体の位置については, 細胞質の円周上に認めた卵の方がより収縮が観られたものの有意差は認めなかった.第二極体放出時 間の違いにおいても,2.9時間以内の卵は 3.0時間以上の卵に比べ収縮が観られたものの有意差は認めなかった.

平均直径を用いた収縮率でも同様の結果が得られたが,細胞質面積 での検討に比較し,収縮度合いは少なかった.

【考察】

受精操作後,3.0-3.3時間以内に明らかな収縮の見られない卵は,  翌日受精していない可能性が高く,ROA実施の判断基準の一つとして, 細胞質面積の収縮率を応用できる可能性が示唆された.

解析数が少ないことから今後も継続的に測定し, 収縮の見られない 卵に対しては,早期にROA実施の判断をしていきたい.

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