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[ 森本義晴賞 ]
O-9 AIを用いた胚画像認識と臨床データ解析の融合による妊娠予測

年次大会 一般演題

2020年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 江夏 徳寿1) ,宮塚 功2) ,犬伏 美喜1) ,古橋 孝祐1) , 山上 一樹1) ,大月 純子1) ,松本 由紀子1) ,苔口 昭次1) , 塩谷 雅英1)

Abstract

【目的】

体外受精において,良好胚を選別して移植することは臨床上重要な意味を持つ.胚の評価としては初期胚の評価法であるVeeck分類や胚盤胞の評価法であるGardner分類が広く用いられているが,必ずしも結果と一致しないことも多く改善の余地がある.本研究では大量の胚画像データおよび臨床データを用いて,受精卵ごとの妊娠率を人工知能(artificial intelligence; AI)によって自動判定するシステムの構築を目指す.

【方法】

英ウィメンズクリニックにて2011年~ 2019年に採卵, 移植を行った 9,961人の臨床データおよび 548,855枚の画像データに匿名加工を施しネクスジェン株式会社とデータ共有を行った.そのうち単一胚盤胞移植を行った症例において,臨床妊娠(心拍確認)をエンドポイントとして機械学習を行った.学習の正確度は10- 分割交差検証を用いて判定した.また, 予測の因子解析として妊娠と相関の強かった特徴量につい て分析を行った.

【結果】

胚盤胞画像19,342枚のうち17,984枚を教師データとして用いて機械学習を行った後,1,358枚のデータを用いて正確度判定を行ったところ,正確度62.7%であった.続いて, 胚盤胞画像データに年齢, 採卵回数,AMH 等の臨床データを加えて同様に検討を行ったところ, 正確度 65.2%と改善を認めた.一方, 初期胚移植のデータを用いた分類学習 においては,妊娠陽性,陰性を予測できる有効な画像の特徴をつかめ なかった.次に, 臨床妊娠と相関の強かった因子について相関度を基に順位付けを行ったところ, 胚盤胞画像(31.0%), 年齢(19.7%), 妊 娠歴(8.6%),AMH(7.7%)の順になった.さらに,胚盤胞画像におい てどの部位が妊娠と関連する特徴量を有するか可視化したところ, inner cell massとtrophectodermそれぞれにhot spotを認めていることが確認された.

【考察】

AIを用いた胚盤胞画像判定は, 従来のGardner 分類による妊娠予 測のベンチマークとされている59.8%を上回っており,現時点で臨床上有用なツールになり得ると考えられた.臨床データを組み合わせて予測 することにより更に正確度が増すことが確認されており, 今後のデータ の蓄積により更に精度の向上が見込まれる.また,AIがとらえた特徴 量を可視化できたということは, 臨床での使用を想定した際に, 結果 の解釈や説明が容易に行える様になることを示しており,意義深いと考 えられた.今後はタイムラプス動画の情報も解析することにより, 膨大 な情報量をもとに, より正確な妊娠予測が得られる様になると考えて いる.また, 妊娠後の経過も解析に加えることによって, 生産率や流 産率も算出可能になることが見込まれ, 将来的には現在の着床前診断 に相当する診断を非侵襲的に行うことを目標としている.

 

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