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丁寧な不妊治療を考える

渡邊浩彦

2021年度 年次大会-講演抄録 | 学術集会副会長挨拶「不妊治療において大切なことを考える」

学会講師 : 渡邊浩彦

Abstract

我々が不妊治療において大切にしていることは「画一
的な治療をせず一人ひとりにあった丁寧な診療を行うこ
と」である.年齢,治療歴,体の状態,ホルモン値,
さらには患者の生活に配慮し,その都度治療計画を立
てるオーダーメイドを軸とした診療を行っている.本講
演では丁寧な不妊治療とは何か,私の実際の日々の診
療内容を中心にお話したい.さらに難治性不妊(卵巣
予備能低下やART反復不成功など)に対する戦略とそ
の注意点についても紹介したい.

【ホルモン検査】
良好卵子を獲得するためにホルモン検査は必須であ
る.特にプロラクチンやTSHの値などは卵の質に影響
すると考えられるが,これらはしばしば変動を来たす.
半年に1回は再検査を行い理想値からずれが生じた場
合は内服薬でコントロールする必要がある.これは
ARTのみならず一般治療においても重要である.【難治性症例のART】
ダナゾールを用いたホルモン補充胚移植(HR)法・
ultra Long 法
ダナゾールを一定期間服用する事により子宮内膜の
着床環境が改善される可能性があると報告されており,
当院でもダナゾール服用後にHR 法にて胚移植を行う
方法を行ったところ反復着床不全例においても高い妊
娠率を得た.さらに当院ではダナゾール服用後にultra
Long 法で卵巣刺激をする方法を行ったところART反復
不成功症例においても高い妊娠率を得た.このことか
ら我々はダナゾールが着床環境だけでなく何らか理由で
胚の質を改善している可能性があると考えており,以前
より学会報告を行ってきた.そして現在も有効な治療
法として継続しており,特に子宮内膜症が疑われる症例,あるいはテストステロン値が低い症例を対象に行う
ことでART反復不成功症例でも妊娠,出産へ導くこと
ができている.今回,本法の方法と臨床成績について
報告する.
GnRHアゴニスト長期投与法
卵巣予備能が著しく低下した症例において排卵誘発
法は重要な課題である.各施設で様々な方法が試みら
れているが苦慮することも多い.我々はGnRHアゴニス
トを長期投与することにより下垂体- 性腺系機能の回
復がみられ血中エストロゲン値が上昇し小卵胞がみら
れたところでhMG 製剤を投与する方法で卵胞が発育し
採卵,妊娠に至るケースをいくつか経験している..本法
の方法と注意点について説明する.
5 倍希釈GnRHアゴニスト投与法
視床下部性排卵障害では卵胞の発育が遅く,hMG
の投与が長期に亘る場合が多い.我々は5 倍稀釈の
GnRHaを用いて内因性のFSH,LH分泌を誘導し,卵
胞発育を認めた段階でhMGを加える方法でhMG 製剤
の使用量を抑え,患者への肉体的・経済的負担を軽減
できると考えている.本法の方法と注意点についても説明する.
【その他】
また,内診所見と子宮内膜症,胚移植用カテーテル
挿入困難例に対する子宮頸管拡張,採卵時のフラッシ
ング等についても述べる.

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