Papers and Abstracts

論文・講演抄録

0-2 子宮腔内液体貯留を認める症例にどう対応するか~メテルギン投与の有効性について~

学術集会 一般演題(口頭発表)

2021年度 学術集会 一般演題(口頭発表)

発表者:川辺 美里・野々口 耕介・木下 勝治・田中 亜理佐・西村 美希・金口 愛・久保田健・田村 出・山口 剛史・渡邉 由美子・石川 弘伸・渡邉 浩彦

醍醐渡辺クリニック

Abstract

帝王切開や子宮筋腫・腺筋症核出術の既往がある患者の子宮腔内
に液体貯留を認める場合がある.子宮腔内に貯留した液体が着床に
どのような影響を与えるかは明らかではないが,悪影響を与える可能
性もあるため対応に苦慮することが多い.我々はこのような症例に対
して,液体貯留が自然に消失している周期を選んで胚移植することを
原則としているが,それでも消失しない場合,液体貯留の吸引もしく
はメテルギン(子宮収縮剤)を投与することにより液体貯留が消失する
のを確認した後に胚移植を施行するなどの対処を行っている.今回,
当院で胚移植前に子宮腔内に液体貯留を認めた症例における対処法
別の臨床成績について報告する.

【対象】
2017年から2020年の4年間,胚移植周期または前周期に経腟超音波検査で子宮腔内の液体貯留が疑われるecho free spaceを認めた24症例44周期を対象とした.液体貯留の原因別内訳は帝切後瘢痕症候群19症例,子宮筋腫または腺筋症核出術後5例であった.液体貯留が自然消失した群(A 群,n=8),液体貯留を移植前もしくは当日に吸引した群(B群, n=9),メテルギン投与後に液体貯留消失した群(C 群,n=27)の3群にわけ妊娠率,流産率について後方視的に検討した.
【結果】
妊娠率はA 群75.0%(6/8)B 群22.2%(2/9)C 群48.1%(13/27),流産率はA 群33.3%(2/6)B 群100%(2/2)C 群46.2%(6/13)であった.
【考察】
今回の検討ではB 群の液体貯留吸引群では妊娠継続例はなかった.
A 群において妊娠率が良好であったことから子宮腔内の液体貯留が
自然消失した周期に胚移植することが良いと考えられた.ただし液体
貯留が自然に消失しない症例に対しては液体貯留を吸引するのでは
なく,メテルギンを投与し液体貯留が消失した後に胚移植を行うこと
も選択肢の1つとして有効であると考えられた.

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