Papers and Abstracts

論文・講演抄録

O-21 未熟卵体外受精法における成熟培養を延長する効果

学術集会 一般演題(口頭発表)

2021年度 学術集会 一般演題(口頭発表)

発表者:佐藤 学1)・中岡 義晴1)・森本 義晴2)

1) IVF なんばクリニック, 2) HORAC グランフロント大阪クリニック

Abstract

【目的】
未熟卵体外受精(I VM)はOHSSが予測されるPCO 症例について
第一選択としている.IVMの課題の一つは成熟率が低く,利用でき
る卵子が制限されることである.またhCGを投与して採卵を行う
IVM法では採卵で回収される卵子の成熟状況は均一ではないことが
明らかとなっている.体内成熟卵も含まれる一方で規定している
IVM 時間(26時間)では成熟に十分な時間ではない未熟卵子も含ま
れていると予想され,このような卵子を培養延長することで利用胚を
増やすことができないか検討した.
【方法】
2019年7月から2020年12月までに同意を得てIVMを行った30症例
(平均年齢34.2歳)を対象とした.採卵36時間前にhCGを投与し, 回収した卵子は成熟状況を確認後,26時間IVMを行い成熟卵子に顕微授精を行い,IVM後の未熟卵は46時間まで追加成熟培養を行い成熟すれば追加で顕微授精を実施した(IVMex).受精卵はそれぞれD3もしくは胚盤胞で全胚凍結を行い,凍結融解胚移植を行った.2019年1月から6月までに従来どおり26時間IVMを行った16症例(平均年齢33.5歳)をコントロールとした(IVM).採卵数,成熟数,正常受精数,D3移植可能胚数,移植あたり臨床的妊娠率を比較した.
【結果】
IVMexとIVM で採卵数には差はなかった(11.8 vs. 11.4)が,
IVMexはIVMに比べ成熟卵数(7.2 v s. 4 .1, P <0.01),正常受精
数(5.3 vs. 3.1)は増加した.D3移植可能胚数(3.5 vs. 2.4)に差は
なかった.臨床妊娠率はIVMex(34周期)とIVM(15周期)で差は
なかった(32.4 vs. 20.0).IVMex 周期で延長成熟培養後に移植し
た胚で妊娠例は一例で妊娠継続はできなかった.
【考察】
IVMを延長することで培養する胚を増やすことはできたが,IVM
延長によって遅延成熟卵由来の移植可能胚は少数であり,レスキュー
できる割合は低いと考えられる.最大3日間に渡り受精作業,培養な
らびに凍結作業が連続して生じる業務の煩雑さを踏まえると効果は薄
い可能性がある.

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