Papers and Abstracts

論文・講演抄録

O-25 5日目の午後に遅延して発育した胚盤胞は6日目胚盤胞を上回るか?

学術集会 一般演題(口頭発表)

2021年度 学術集会 一般演題(口頭発表)

発表者:和泉 広樹1)・佐藤 学1)・中岡 義晴1)・森本 義晴2)

1) IVF なんばクリニック, 2) HORAC グランフロント大阪クリニック

Abstract

【背景・目的】
胚盤胞凍結の多くは受精5日目(Day5),6日目(Day6)に行われる.その凍結時間帯は施設の業務スケジュールによって様々である.当院では午前中(9:00-10:00)に観察,凍結を実施し,移植成績は早期に発生した胚盤胞が良好であるデータを得ている.今まではDay5に凍結できないと判断した胚盤胞はDay6まで培養していたが,タイムラプス観察によりDay5の午後には発育遅延した胚の中に良好胚盤胞も見られる経験が増えたため,極力Day5に凍結したほうがDay 6に比べ臨床成績は上がるのではないかと考えた.そこで当院では,胚盤胞の早期凍結を目的に2016年6月よりDay5.5と称して5日目の午後(15:00)の観察と凍結を開始した.このDay5.5胚盤胞の有用性を調べるためDay5,Day5.5,Day6間で検討を行った.

【方法】
2016年6月24日から2021年1月31日の間に同意を得て胚盤胞凍結,
その後単一胚盤胞移植を実施した2931周期を対象とした.検討①:
Day5.5を含めたDay5(2586個)とDay6(345個)で臨床的妊娠率,
流産率を比較した.検討②:Day5凍結群(2290個),Day5.5凍結群
(296個),Day6凍結群(345個)の3群で妊娠率,流産率を比較した.
【結果】
検討①:Day5( Day5.5を含めた)の妊娠率はDay6に比べ上がり
(51.9% vs. 30.7%),流産率は下がった(21.7% vs. 34.9%).
検討②:各群の妊娠率は53. 2%(Day5),41. 6%(Day5. 5),30. 7%(Day6)となり,Day5と比べDay5.5とDay6で下がった.流産率は21.2%(Day5),26.8%(Day5.5),34.9%(Day6)でDay5と比較してDay5.5とDay6で上がった.Day5.5とDay6間で妊娠率,流産率に差はみられなかった.
【考察】
Day5胚盤胞の移植成績が良好であることが確認できた.一方で
Day5.5とDay6の臨床成績に差は無く,むしろDay5胚との差が生じていた.これは同じDay5でもより早くに発育している胚を優先移植する重要性が考えられる.

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