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精子DNA断片化が不妊治療に与える影響

武内大輝

2022年度 年次大会-講演抄録 | 日本臨床エンブリオロジスト学会「培養環境を考える」

学会講師 : 武内大輝

Abstract

体外授精で治療する不妊患者の中には反復で胚質不良となり,胚移植に至らないケースが一定数存在する.近年,胚質不良の原因の1つに,精子DNAfragmentation(Sperm DNA Fragmentation:SDF)が関与している報告が散見される.SDFは受精,胚発生,着床,妊娠に影響を及ぼす可能性があり,SDF 値が10%以上である場合は受精率が下がることが報告されている.加えて飲酒や喫煙などの生活習慣がSDFを増加させることも報告されており,体外受精成績の向上のために,SDF 値を正確に測定した上でSDF 値を低減させる手法を選択・開発することが重要となっている.
SDF検査法にはSperm Chromatin Structure Assay(SCSA)法,Halosperm法,TdT-mediated dUTP nickend-labeling(TUNEL)法などがあるが,当院では高感度なSDF 検査として,TUNEL 法とフローサイトメトリーを組み合わせた(TUNEL-FCM法)検査を2020年より導入し,臨床で提供している.当院では,体外受精前に全症例に対して密度勾配遠心(density gradientcentrifugation: DGC)法によって調整された精子について本検査を実施しており,そのSDF 値が基準値を上回る場合は非遠心法による精子調整を推奨してる.

我々はこれまで,TUNEL-FCM 法とSCSA 法の相関性,DGC 法よりも非遠心法で選別した精子のSDF値が低減すること,DGC 法と非遠心法による体外受精成績に与える影響などを,生殖医療に関連する様々な学会で報告してきた.本発表では,SDFに係る検査法の基礎的な原理, 当院がSDF 検査法としてTUNEL-FCM法を採用した経緯,当院におけるこれまでのSDFに関連した研究の結果のまとめから,現在実施中研究の一部について発表するとともに,SDFの最近の状況についても述べる.

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