Papers and Abstracts

論文・講演抄録

O-29 男性不妊に関する意識調査の報告

学術集会 一般演題(口頭発表)

2021年度 学術集会 一般演題(口頭発表)

発表者:白岩 優綺・古橋 孝祐・江夏 徳寿・岩﨑 利郎・水澤 友利・岡本 恵理・苔口 昭次・塩谷 雅英

英ウィメンズクリニック

Abstract

【目的】
本研究は今日における男性の不妊治療への意識・男性不妊への認
知度を調査した.
【方法】
2020年6月〜9月に男性不妊外来を受診した男性患者400名を対象
とした.アンケートは無記名式で行い,個人情報は個人情報保護法に基づき厳重に管理していることを明記し,回答を以って研究に同意
したものとした.
【結果】
平均年齢は36.2±6.4歳,回収率は88.5%(354/400)であった.
初回精液検査の結果について,全体に占める割合が多い順に,無回
答を除き「想定より悪かった」192名(54%),「想定していた程度だった」62名(18%),「未検査」62名(18%) ,「想定より良かった」23名(6%)であった.パートナー以外の家族・知人に不妊治療のことを話せるかについて「はい」262名(74%),「いいえ」86名(24%)であった.「いいえ」の理由は,プライベートな事だから,世間体が気になる,相手に余計な心配をかけたくない等の意見があった.積極的に不妊治療に取り組みたいかについて「そう思う」225名(64%),「ややそう思う」88名(25%),「どちらともいえない」31名(9%),「ややそう思わない」4名(1%),「そう思わない」2名(1%)であった.「どちらともいえない」「ややそう思わない」「そう思わない」の理由は,経済的理由,辛い事も多いから,子供を急いでいない等の意見があった.受診後,治療に対する関心・理解度は高まったかについて「高まった」288 名(81%),「変化はなかった」52 名(15%),「低くなった」0 名(0%)であった.受診前後でご夫婦の不安やストレスは増えたかについて「どちらともいえない」233名(66%)「増えた」74名(21%),「減った」29名(8%)であった.男性不妊に関する認知度については,どの設問に対しても約7 〜8割
は「知っている」と回答した.
【考察】
本結果より,パートナー以外の家族・知人に不妊治療のことを話せるかについて74%が「話せる」と回答した.過去の報告1)では自身の不妊治療について81%(4448/5471名)の患者が「話しづらい」と回答した結果と比較し,自身の不妊治療について話せる患者が多い結果となった.男性不妊外来の受診前後で,ご夫婦の不安やストレスは増えたかについて87%は「増えた」「どちらともいえない」と回答した.これは想定より精液所見が悪かったケース(54%)が多かったこと,治療に対する当事者意識が芽生えたためと考えられた.また,男性不妊外来は男性の不妊治療への関心・理解度を高める手助けとなることが分かった.不妊治療をカップルの問題とし,治療を行うにはカップルで閲覧できるWebセミナーの開催等の工夫が必要であると考えられた.
1)「 仕事と不妊治療の両立に関するアンケートPart2」2017.10.5
NPO 法人Fine

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