Papers and Abstracts

論文・講演抄録

患者年齢は媒精法により培養成績 へ影響をあたえるか

学術集会 一般演題(ポスターセッション)

2016年度 学術集会 一般演題(ポスターセッション)

発表者:菅野 弘基・菊地 裕幸・山田 健市・若生 麻美・佐藤 那美・馬場 由佳・片桐 未希子・野田 隆弘・福井 淳史・吉田 仁秋

仙台ARTクリニック

Abstract

【目的】

cIVFにおいて受精障害は,原精液所見が正常であっても,13.5%に見られる.当院では,完全受精障害による治療キャンセルを防ぐため,初回採卵で精液所見が正常な場合は,split-ICSIを選択している.妻年齢が高くなることが,卵子の老化・質の低下により,cIVF における低受精率,多前核形成率やICSI での変性率に影響があるか,また40歳以上の症例において,媒精法の違いが受精率や胚発生率に影響を与えるか探ることを目的に,原精液所見正常症例において培養成績の検討を行った.

【方法】

2013年9月~ 2016年4月の間に初回採卵を行った原精液所見正常症例245周期において,採卵後cIVF,ICSIに振り分けた未熟卵を含む全卵子を対象とした.1)年齢をA 群:35歳未満,B 群:35-39歳,C 群:40歳以上に分類し,cIVFの低受精率 (30% 以下),多前核形成率,ICSIの変性率について比較した.2)同様の年齢区分で,split-ICSIを行った症例におけるcIVFとICSIの正常受精率,Day3良好胚率,良好胚盤胞発生率について比較した.Day3良好胚は,6cell 以上かつVeeck 分類Grade3以上,良好胚盤胞は,Day3移植・凍結症例を除いたGardnar 分類Blasto 3BB 以上とした.

【結果】

患者平均年齢は35.7±4.2歳,患者背景は,卵管性21.6%,内膜症13.9%,原因不明59.2%,PCOS 1.2%,複合4.1%であった.1)A 群,B群,C 群におけるcIVFの低受精率症例の発生頻度は,1.6%,7.7%,4.5%,多前核形成率は,6.8%,8.2%,7.9%,ICSIの変性率は,3.2%,3.6%,5.7%と有意な差は見られなかった.2) A 群,B 群,C 群の正常受精率は,cIVF で68.9%,61.7%,72.3%,ICSI で65.1%,68.5%,70.8%,Day 3良好胚率は,cIVF で42.4% ,32.2%,43.8%,ICSIで37.5%,37.8%,42.5%, 良好胚盤胞発生率は,cIVF で42.6%,23.0%,29.6%,ICSI で33.1%,32.1%,19.2%であり,全年齢区分において有意な差は見られなかった.

【考察】

本検討では,妻年齢の上昇によるcIVF の低受精率,多前核形成率やICSIの変性率等のリスク増加は見られなかった.また,40歳以上の症例においても,正常受精率,Day3良好胚率,良好胚盤胞発生率は,cIVFとICSI で同等であった.よって,妻年齢の上昇に伴う卵子の老化・質の低下は,媒精法の違いにおいて受精率や胚発生率に影響を与えなかった.

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