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糖代謝とARTの成績に関しての検討〜AGEsと1.5AGについて

年次大会 一般演題

2018年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 和泉 杏里紗,北上 茂樹,永石 綾,黒岩 しおり,植村 智子,松山 茜,
土井 香奈子,萩原 美聖,古賀 剛,古賀 文敏

Abstract

目的:高齢化がすすむ日本では、ARTの成績が器質的疾患ではなく、Agingを原因とする胚の質に大きく左右されることが知られている。近年Agingをもたらすものとして、タンパク質の糖化によって体内に生成される物質、終末糖化産物(Advanced Glycation Endproducts: AGEs)が注目されている。そこで今回終末糖化産物測定器(以下、AGEsセンサ)を用いて皮膚上のAGEs蓄積量を測定し、AGEsとART成績の関連性について検討した。また、糖化ストレスがARTに及ぼす影響を調べるために、血糖変動の指標である1.5AGに着目した。1.5AGは、血中濃度がほぼ一定値を示し、軽微な血糖変動をモニターできるため、1.5AGとART成績について検討した。

方法:2018年1月から2018年6月に当院でARTを行った127周期を対象とし、AGEsセンサを用いてAGEsを測定した。対象女性を39歳以下(54周期)と40歳以上(73周期)の2群に分け、さらにAGEsスコアが0.35以下のA群、0.36‐0.49のB群、0.5以上のC群に分け、胚質と妊娠率について検討した(検討1)。また同期間中に1.5AGを測定し、18μg/mL未満のA群(36周期)と18μg/mL以上のB群(30周期)に分け検討した(検討2)。さらに、39歳以下と40歳以上に分けAGEsと1.5AGの相関について検討を行った(検討3)。

結果:検討1:40歳以上におけるA、B、C群間で良好胚盤胞率:23.5%、19.9%、19.4%、胚盤胞到達率:41.2%、35.7%、31.3%、妊娠率:71.4%、20.8%、22.2%となり、A群間で高い傾向が見られた。また、39歳以下におけるA、B、C群間で良好胚盤胞率:27.6%、24.1%、25.2%、胚盤胞到達率:58.6%、33.1%、46.7%、妊娠率:50.0%、29.4%、41.7%であり、相関は認められなかった。検討2:A、B群間において良好胚盤胞率:20.3%、26.4%、胚盤胞到達率:30.9%、47.9%となり、糖代謝のコントロール良好なB群が高い傾向にあった。検討3:AGEsと1.5AGについて検討を行ったところ、40歳以上の群で弱い相関が見られた。

結論:39歳以下ではAGEsとARTの成績に相関はみられなかったが、40歳以上において胚質と妊娠率について一定の傾向が得られた。高齢女性においては、1.5AGの結果からも糖化ストレスを避ける生活習慣の改善がARTにおいて胚質と妊娠率に好影響を与える可能性がある。今後さらに着床環境への影響を検討したい。

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