Papers and Abstracts

論文・講演抄録

3D超音波法を用いた経腟超音波ガイド下胚移植後画像での妊娠の有無の検討

学術集会 一般演題(口頭発表)

2018年度 学術集会 一般演題(口頭発表)

発表者:古井 憲作・甲木 聡・山下 絵美里・國島 温志・皆元 裕子・鈴木 範子・安藤 寿夫

豊橋市民病院 総合生殖医療センター

Abstract

【方法】2016年10月から2017年12月までの期間に胚移植を施行した症例を対象とした。胚移植前後に3D超音波法にて撮影した画像は、のちにSurface modeを用いて子宮内膜と胚移植部位を描出し、子宮内膜の境界となる内子宮口をA点、右卵管角をB点、左卵管角をC点と座標軸に推定し、同様に移植部位をD点とし、AB間、AC間、BC間、AD間、BD間、CD間の距離を3Dエコーの計測機能を用いて測定した。対象症例を新鮮胚移植と融解胚移植に分類し、さらにそれぞれの妊娠した群(以下妊娠群)と妊娠しなかった群(以下非妊娠群)に対して、①ABCの面積、②直線BCからD点の距離、③左右卵管角B点およびC点から胚移植部位D点の距離(BDおよびCD)の左右差、④子宮内膜の厚さについて妊娠の有無を比較検討した。子宮内膜の厚さに関しては子宮の矢状面で最も子宮内膜が厚い部分の計測をしている。検討にはt検定を用い、妊娠群と非妊娠群について、前述の①~④の比較項目に関して有意差があるかを調査した。

 

【結果】対象症例は260例であった。その内、子宮筋腫、子宮筋腫核出術後などにより正確に内膜を描出できない71例は除外とした。妊娠群52例(うち新鮮胚移植21例、融解胚移植31例)、非妊娠群137例(うち新鮮胚移植67例、融解胚移植70例))を比較した。ABCの面積に関しては、融解胚移植および新鮮胚移植いずれにおいても、妊娠群が有意に大きかった。直線BCとD点の距離に関しては、融解胚移植においては妊娠群が非妊娠群よりも短いという相関を認めたが、一方で新鮮胚移植では有意差は認められなかった。BDとCDの距離の差に関しては、妊娠群と非妊娠群に差を認めなかった。子宮内膜の厚さに関しては、融解胚移植と新鮮胚移植いずれにおいても、妊娠群が非妊娠群よりも厚かった。

 

【結論】今回の検討では、ABCの面積と子宮内膜の厚さが妊娠しやすさに関連していることが示唆されたが、移植部位そのものに関しては、融解胚移植では直線BCとD点の距離のみ差を認め、その他では有意な差を認めなかった。後方視的に胚移植部位の検討が可能であったことは、胚移植を行った手技を指導する場合に有用であるかもしれない。実際に、妊娠群、非妊娠群で移植部位に大きな差が出ていないことは、当施設において胚移植を適切に行えていることの結果と推測できる。今回行った3D超音波法を併用した胚移植部位の計測はまだ新しい試みであるため、今後更に改善していきたいと考える。

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