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卵巣予備能低下症例に対する回収卵子数を増やす工夫

杉山力一

2019年度 年次大会-講演抄録 | Symposium2 「ART を受ける現代女性が抱える問題点とその解決策」 ①働く女性のための解決策 ②卵巣予備能低下(DOR)に対する解決策

学会講師 : 杉山力一

Abstract

ART の成功を左右する因子は, 染色体正常の胚盤 胞を獲得することである.染色体正常胚が得られる 確率は女性の年齢に依存しており, 我々が想像して いるよりは低率である.つまり,ART で上記の正常 胚を得るためには多くの卵子を確保することが必要 となってくる.卵巣予備能低下(DOR;diminished ovarian reserve) 症例とは, 卵巣予備能が低下した状 態の女性のことをさし, 通常, 卵巣刺激には低反応 である.女性の年齢が進むと DOR となるが,40 歳未 満の女性でも DOR 症例が存在する.DOR 症例の特 徴としては低 AMH 値, 月経中の FSH 値高値, 胞状 卵胞数が少ない等を挙げることができる.このよう な症例は通常, 卵巣刺激をしても低反応を示し ART 治療そのものが難治性となってくる.また,DOR 症 例の一部に卵巣刺激に対して不均一な卵胞発育を示 すことがある.本講演では, 月経中の高 FSH 症例に 対する対策として, エストロゲン補充下クロミッド 刺激法(E2 + CC)と, 不均一な卵胞発育となった場 合の2段階採卵法について,我々の施設で行っている 方法を紹介する.

採卵を行う周期の月経 3 日目の FSH 値≧ 20IU/L の 場合, 通常の卵巣刺激を行っても低反応が予測され, この原因は高FSH状態である.よってまずE2製剤を 使用してFSH値を低下させ,その後E2製剤を併用し ながらクロミフェンで卵巣刺激を行う方法である.こ の方法のメリットは注射の排卵誘発剤を使用しない ので患者様の経済的・身体的負担が低いことであり, デメリットとしては採卵に至るまで時間を要する(≧ 14日)こと,クロミフェンを長く使用するため新鮮胚 移植は行えないこと, である.経済的・身体的負担 が低いため, 低反応となった場合でも患者様の徒労 感は少なくはなると考えられる.   大小不同の不均一な卵胞発育を示す症例に遭遇す ることは珍しくない.通常, 大きい卵胞に基準を合 わせて採卵が組まれる.この場合, 小さいほうの卵 胞が13㎜以下の場合,穿刺をしても成熟卵が得られる可能性は極めて低い.しかしながら,DOR 症例にし てみれば, とても貴重な卵胞である.それで, この ような場合は, 小さい方は穿刺せず残し, 大きい方 の卵胞のみを採卵し, 採卵日から刺激を追加し, 卵 胞を発育させてから 2 回目の採卵を行う方法である. 本方法を行うことで,回収卵子数の増加が期待できる.

上記の 2 通りの方法は,DOR 症例に対するとして 有効であると考えられ, 本講演では日々の診療に役 立つような具体的な方法を概説する.

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