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[ 学術奨励賞 ]
多核胚とDirect Cleavage胚の 臨床成績

年次大会 一般演題

2019年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 渡辺 瞳,水本 茂利,田中 啓子,戸野本 知子,長尾 洋三, 仲宗根 巧真,奥田 紗矢香,後藤 美緒,一木 巴恵, 大坪 可奈子,蔵本 武志

Abstract

【目的】
近年タイムラプスの普及により, これまでの定点観察ではあまり観察 されることのなかった多核胚や異常卵割についての知見が多く報告され ている。当院では以前より多核胚(MNB)とDirect Cleavage(DC)について 検討を行っており,MNBとDCを共に認めた胚の胚盤胞発生率は低 率であり,また MNBが認められた症例において DCが起こりやすいこ とを報告した(2018年日本生殖医学会)。今回はそれらの臨床成績を比較し,MNBとDCに対する明確な胚 評価基準を定めることを目的とした.

【対象および方法】
2018年1月から2019年3月に当院で採卵し胚盤胞凍結を行い,2019 年4月までに単一融解胚盤胞移植を行った701周期(平均年齢35.6歳) を対象とした。対象を以下の4群に分け, 臨床的妊娠率および流産率 を比較した。①多核もDirect Cleavageも認めなかった胚(Control群)661周 期, ② 多核のみを認めた胚(MNB+群)28周 期, ③ Direct Cleavageのみを認めた胚(DC+群)7周期,④多核とDirect Cleavage を共に認めた胚(MNB+DC+群)5周期とした.なお,凍結胚盤胞が 複数個ある場合の移植胚の選択は,ガードナー分類で上位の胚とした.

【結果】
各群の平均年齢は Control 群,MNB+ 群,DC+ 群,MNB+DC+ 群でそれぞれ 35.6±3.8歳,37.3±4歳,38.3±2.1歳,34.0±2.6歳となり,Control 群に比べMNB+群が有意に高かった(P=0.03). 総採卵回数は,Control群,MNB+群,DC+群,MNB+DC+ 群 でそれ ぞれ 1.4±1.0回,2.2±1.7回,3.0±3.3回,3.0±1.8回で,Control 群に比べ MNB+群(P=0.03)とMNB+DC+ 群(P=0.0006) で有意に多かった.  臨床的妊娠率はControl 群,MNB+群,DC+群,MNB+DC+ 群それぞれ 373/661(56.4%),16/28(57.1%),3/7(42.9%),3/5(60.0%)となり, 流 産 率 は 83/373(22.3%),7/16(43.8%),2/3(66.7%),1/3 (33.3%)であった.

【考察】
臨床的妊娠率はすべての群で差はなかったが,流産率はControl 群 に 比 べ MNB + 群(P=0.09),DC+ 群(P=0.25),MNB +DC+ 群 (P=0.81)が高い傾向にあった.しかし,この結果は患者の年齢と採卵 回数に差があったことによるものと考えられる。今回の検討では DC+群,MNB+DC+群の移植症例数が少なく, MNBとDCに対する明確な胚評価基準を定めることはできなかった. 今後さらに症例数を増やし患者背景の偏りを調整し, 引き続き比較検 討を継続していく

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