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増加する就労女性患者に対する当院の取り組み~ランダムスタート法による調節卵巣刺激法の活用~

年次大会 一般演題

2019年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 加藤 裕之,吉岡 尚美,小川 尚子,大塚 未砂子, 村上 貴美子,水本 茂利,大坪 瞳,蔵本 武志

Abstract

【目的】
共働き世帯の増加により, 不妊患者における就労女性の割合が増加している.当院の患者の80%は就労女性であり,50%は常勤のフルタ イムで仕事を行っている.このような現代患者のニーズに合わせて治療を行うには, 通院日数を減らすなどの配慮が必要となる.当院では就労女性患者へのサポート体制を整備するため, 両立支援外来を開設している.同外来経由後の診療現場においては,月経開始時期を問わず スタートできるランダムスタート法(以下ランダム法)などを活用して,患者個別のニーズに合わせて計画 ARTを行なっている.今回, これらの計画ART が就労女性のストレス軽減に寄与するかを検討した.また計画 ARTの選択肢であるランダム法の臨床成績を通常のGnRHアン タゴニスト法(以下アンタゴニスト法)と比較検討した.

【方法】
2018年5月1日~ 2019年2月28日において, 当院両立相談外来経由で 計画 ARTを行った30名を対象とし, 計画 ARTのストレスへの有効性 について質問紙調査を行った.

次に2018年1月1日~ 2019年1月31日において, アンタゴニスト法で採卵した 252症例を対象とし, 月経1 ~ 3日目よりスタートした189症例(C 群)と, 月経6日目以降の卵胞期よりスタートしたランダム法15症例(F 群),黄体期よりスタートしたランダム法48症例(L 群)の臨床成績を検 討した.

【成績】
両立支援外来の受診患者30名のうち計画 ARTを行った18周期の内 訳は,ランダム法4周期,前周期ホルモン補充による月経調整14周期で あった.計画ARTを施行した70%の患者が通常治療に比較してストレ スや負担 が 減り,80%の患者 が 計画 ARTなら仕事との両立可能との 回答を得た. C 群,F 群,L 群において, 年齢,AMH値,BMIに有意差はなく, 採卵数は,15.8,13.6,11.7個と,L 群のみ有意に少なかった.スター ト時の胞状卵胞数も同様に,15.2,18.3,12.2個と,L 群のみ有意に 少なかった.採卵率,成熟率,受精率に有意差は認めなかった.ゴナ ドトロピン投与日数及び総投与量は,9.8,9.9,11.1日,2321,2823, 3091 IUとL 群のみが有意に多かった.単一胚盤胞移植当たりの臨床 的妊娠率は,55.1,70.0,69.1%であり有意差は認めなかった.

【結論】
計画 ARTは, 不妊治療と仕事の両立を必要とする患者のストレスを 軽減する有効な支援であると思われた.アンタゴニスト法においては, スタート時期は臨床的妊娠率に影響を与えなかった.採卵数の有意差は,スタート時の胞状卵胞数に由来すると思われた.計画ARTにおけ るランダム法は患者個別のニーズに対応し易く,臨床的結果に影響を与 えない有効な調節卵巣刺激法であり, 増加する就労女性のストレス軽 減にも寄与すると思われた.

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