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0-13 当院において透明帯欠損卵子が見られた症例の分析

年次大会 一般演題

2020年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 水本 茂利,渡辺 瞳,長尾 洋三,田中 啓子,大塚 未砂子,吉岡 尚美,蔵本 武志

Abstract

【目的】
透明帯の形態異常や脆弱性により,稀に透明帯を欠損する卵子(以下ZF 卵子)が見られる.ZF 卵子は正常な受精・発生能を有しており,胚盤胞移植による生児獲得例が報告されている(Ueno et.al. Fertil Steril. 2014; 101: 1001–7).また,我々はZF 卵子のICSI 成績および発生速度が正常卵子と同様である事を報告している(第74回九州・沖縄生殖医学会).
しかしながら,ZF 卵子は正常卵子と比較して操作が困難であるため,透明帯の剥離を未然に防ぐ事が望ましい.そこで本演題では,ZF 卵子が生じる要因を明らかにするため症例の分析を行うと共に,ZF 卵子のICSI 成績を再集計したので報告する.
【対象・方法】
2013年7月~ 2020年8月に当院で採卵を行い,卵丘細胞除去後にZF卵子が確認された39症例(ZF 症例)を対象とし,その患者背景について同一期間の他の症例(対照症例)と比較した.検討項目は,不妊期間,不妊原因,患者年齢,BMI,AHM 値,治療回数,卵巣刺激法,採卵数とした.ZF 卵子は,紡錘体観察によりMII 期と判断出来た場合にICSIを施行し,同一周期の正常卵子と2PN 率,Day3良好胚率,胚盤胞到達率,良好胚盤胞率の比較を行った.
【結果】
ZF症例の不妊期間(2.67年),BM(I 20.94kg/m2),AMH値(2.91ng/ml),治療回数(3.68回),採卵数(9.02個)に対照症例との差は見られなかったが,妻年齢は有意に若かった(37.4 vs 38.8 ; P<0.05).ZF 症例における不妊原因の内訳は,男性因子:27.4%,卵管因子:6.0%,PCOS:9.5%,子宮内膜症:14.3%,卵巣機能不全:1.2%,卵巣予備能下:23.8%,受精障害:4.8%,原因不明:13.1%であった.PCOSの割合は対照症例(4.1%)より有意に高く(P<0.05),ZF 症例の20.5%(8/39症例)に見られた.また,E2高値にて全胚凍結した割合も有意に高かった(19.4 vs 26.0%;P<0.01).卵巣刺激法の内訳に差は見られなかった.
症例あたりのZF 卵子の割合は12.5%(41/327個;1-2個/ 症例),成熟率は78.0%(32/41個)であった.ZF 卵子と正常卵子における,2PN率(68.8 vs 74.5%),Day3良好胚率(54.5 vs 48.0%),胚盤胞到達率(45.5 vs 65.2% ; P=0.07),良好胚盤胞率(50.0 vs 44.3%)に差は見ら
れず,対照症例とも同等であった.
【展望】
本検討の結果,ZF 卵子が見られる症例の特徴が一部明らかとなった.今後更に検討を重ねる事で,ZF 卵子の発生を防ぐ方法に繋げていきたい.

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