論文詳細ページ

0-20 AIを用いたスマートフォン精液検査の精度向上への試み

年次大会 一般演題

2020年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 中川 奈緒子,江夏 徳寿,片田 雄也,古橋 孝祐,岩﨑 利郎, 松本 由紀子,苔口 昭次,塩谷 雅英

Abstract

【目的】

近年男性不妊に対する世間的な認識, ニーズが高まってきている.スマートフォンアプリを用いた,自宅での精液検査は簡易で時間がかからないため,男性の治療の第一歩として注目されている.現行のスマー トフォンアプリプログラムでは,iPhone®にて, 精子濃度, 運動率の測定が可能であるが, 専門病院での検査と比較し検査項目が少なく精度 も十分ではないという問題があった.今回, ①精子濃度・運動率測定の精度の向上, ②検査項目に前進運動率と運動速度を追加すること, ③ iPhone®のみでなくGalaxy®,Pixel®,Xperia®においても同様の 測定結果を得ること,を目的としプログラムの共同開発を目指した.

【方法】

2019年1 ~ 5月にかけて当院で精液検査を行った検体のうちSMAS® にて計測可能であった100症例を対象とした.SMAS®での検査結果と,リクルートライフスタイル株式会社の開発したスマートフォン精液検査デバイスを用いた測定結果を照合し, 精子濃度, 運動率, 前進運動率, 運 動 速 度について相関を調 べた. スマートフォン 検 査は市販の iPhone® Galaxy®,Pixel®,Xperia®の4機種で行った.データのばら つきを評価するために,測定はそれぞれ 3回ずつ行った.

【結果】

SMASとスマートフォン精液検査の結果をそれぞれ比較した場合,相関係数は精子濃度,運動率において0.62,0.55と一定の相関を認め た.一方で, 前進運動率と運動速度に関しては 0.25,0.01とほとんど相関を認めず, 標準偏差もSMASの10倍以上認めたことからデータの 再現性が乏しいと考えられた.そこでデータ動画の再解析をリクルート 社に依頼し,AIを用いた精子認識力の向上と認識確度の調整を行った. 調整後のプログラムを用いて再度同じ精子動画を解析したところ,精子濃度,運動率,前進運動率,速度において相関係数0.79,0.59,0.58, 0.40と相関の改善を認め, データのばらつきも軽減した.スマートフォ ン4機種間で,得られた数値は同程度であった.

【考察】

AIを用いて, 精子認識力の向上と認識確度の調整を行うことで, 各検査項目の精度向上を認めた.またスマートフォンの使用機種の違い に関わらず精子濃度や運動率を正確に測定できた.前進運動率と運動速度については, 観察視野が狭いためデータにばらつきが出る傾向を 認めたが,AIを用いたプログラムの改良により補完可能である可能性 が示唆された.今後さらにデータを蓄積し,より正確な測定ができるシ ステムを目指していく.

ページ先頭