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C-IVF由来の1PN 胚だけでなく ICSI 由来の1PN 胚も臨床的に有用である

年次大会 一般演題

2019年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 辻 暖永1) ,北坂 浩也1) ,野老 美紀子1) ,福永 憲隆1, 2) , 浅田 義正1, 2)

Abstract

【目的】
ARTにおいて低率ではあるが1前核(1PN)胚が形成される.その発生機構は未だ不明な点が多く, また臨床的に有用であるか否か統一し た見解がないのが現状である.当院ではこれまでにLive cell imaging 技術を用いることで,マウスおよびヒトにおいて1PNの中には雌雄両ゲ ノムを含む胚が存在することを明らかにしてきた.またそれら雌雄両ゲ ノムを含む胚の中には胚盤胞まで発生する胚が一定数存在する.しかしながら近年,ICSI由来の1PN(1PN-ICSI)胚は移植しても挙児が得 られないという報告や1PN-ICSI 胚の全ては染色体異常であり移植の対象とすべきではないという報告が散見される.そこで本研究では胚 盤胞形成率, 臨床妊娠率, 流産率および産児の有無を指標に1PNICSI 胚の臨床的有用性を再評価した.

【方法】
2013年1月~ 2018年12月までに採卵を行い1PN-ICSIを形成した3,618個を対象とし胚盤胞形成率を算出した.またGardner 分類で3 以上(CCを含まない)の胚はガラス化凍結を行い, 移植周期に1PNICSI 胚盤胞の単一胚移植を行った 217周期を対象とし, 臨床妊娠率, 流産率および産児数を算出することで臨床的有用性を評価した.なお 同期間に ICSI/C-IVF 後に得られた 2PN 胚 および C-IVF 後1PN (1PN-cIVF)を形成した胚を対照区とした.

【結果】
1PN-ICSIの出現率は 2.8%(3618/127728)であり1PN-cIVFより有 意に低かった(4.6%:1044/22799).1PN-ICSIにおける胚盤胞形成率 は 14.8%(525/3547)で あり1PN-cIVF の 26.5%(274/1035),2PN の62.0%(22420/36189)と比べそれぞれ有意に低かった.また臨床妊娠 率 は 24.4%(53/217)で あり 1PN-cIVF の 36.6%(41/112),2PN の40.2%(4802/11947)と比べそれぞれ有意に低かった.しかしながら流 産 率 に お いて は 30.2%(16/53)で あり1PN-cIVF の 34.1%(14/41), 2PNの23.3%(1119/4801)と比べて差はなかった.また,1PN-ICSI 胚 の移植において現在までに21名の産児が確認できている.

【考察】
1PN-ICSI 胚の胚盤胞形成率は低いが,それは染色体異常を含む胚の多くが胚盤胞までの発生過程で淘汰され, 雌雄両ゲノムを含む1PN 胚が胚盤胞に達した可能性がある.その結果, 流産率には差がなく, これまでに複数症例において挙児が確認されている.故にICSI-1PN 胚の全てが異常な胚とは言えず, 胚盤胞まで培養することで臨床的に 有用であると言える.

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